レギュレーション

 で、レースの方法だが、ダカールラリーで砂漠を走破するように、全国の田んぼを蹂躙して走り回る、というのもコーフン的だが、農林水産省や農協、何より、稲を大切に育てているお百姓さんに怒られそうなので、諦める。


 かといって、封鎖した道路を走る、というのも、いかにもフツーでつまらない。


 そこで考えたのが、「交通法規の遵守」である。


 道路を、一般の車両と同じ条件でただただ走るのだ。
 道路交通法は絶対、遵守。一時停止はもちろん、制限速度、駐停車禁止、方向指示などなど、全て完全に守る。


 例えば、制限速度30km/hの道は、たとえ一般車両が50km/hで走っていても、我慢して30km/hで走る。無理な追い抜きはもちろん、禁止。ついでに立ち小便もダメ。
 違反があったら、減点もしくは失格、場合によっては地元警察の交通課に連行である。


 中継地点から中継地点の間は、どの道を通ってもよいことにする。高速が渋滞しそうだったらあえて下の道を走る、など、適宜、情報と作戦と勘を頼りに那覇までひた走る。


 これをね、盆か暮れの帰省シーズンにやるのだ。北海道や東北が雪で阻まれることを考えると、暮れにやるのがいいかな。


 最大の敵はある意味、ライバルドライバーではなく、過酷な日本の道路事情である。


 信号待ちにイライラしたり、右折禁止にハマったり、ドンくさいクルマに前をふさがれたり、抜け道のつもりがバスに阻まれたり、東名高速で大渋滞に巻き込まれたりして、駆け引き、スリル、ストレスに満ちた地道なレースが展開されるわけだ。
 渋滞中、たまたま隣に並んだクルマの人からチョコレートをもらったり、と、感動秘話も期待できる。パンクしたら、地味にJAFを呼ぶ。


 那覇にゴールしたら、ラリーの歴戦の強者達が、「こんな、つらいレースは初めてだ!」。敵も味方もなく、抱き合ってわーわー泣くんじゃないかろうか。

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「今日の嘘八百」


嘘三百四十二 昭和こいる師匠から、なってない、と三時間、説教されました。


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