メタファー

 自己実現は置いておいて、大学時代に苦しめられた言葉がある。「メタファー」というやつだ。


 授業によく出てきた。困って、辞書を引いてみたら、一言、「隠喩。」とだけ書いてあった。ゼツボー的な気分になった。


 もう少し頑張って、今、「隠喩」を広辞苑で引いてみると、こうある。


いん-ゆ【隠喩】隠喩法の略。また、隠喩法による表現。暗喩。


 わかるか!


 しかし、ちゃんとその後に、「隠喩法」の説明があるのだった。


―-ほうハフ【隠喩法】(metaphor)1. ある物を別の物にたとえる語法一般。 2. 修辞法の一。たとえを用いながら、表現面にはその形式(「如し」「ようだ」等)を出さない方法。白髪を生じたことを「頭に霜を置く」という類。暗喩法。⇔直喩法 3. 修辞法の一。複数の物を内的・外的属性の類似によって同一化する技法。⇔換喩法


 軽く脳味噌が止まる。


 まあ、しかし、たとえ馬鹿であっても、この年まで文章をなりわいとすると、メタファーの意味も何となくはわかってくる。


 では、相手にわかるように「メタファー」の意味を説明してください、と言われると、困ってしまう。
 言葉の理解、納得というのは不思議だ。わかっているからといって、必ずしも説明できるわけではない。逆に、説明できなくても、わかっていたりする。


 いきなり、「犬」を説明しろ、と言われても困るでしょう?


 だから、今のわたしなら、こう答える。


「メタファーって何ですか?」
「隠喩です」


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