頑張れとTake it easy

 人が何かに挑戦しようとしたり、困難に向き合っているとき、日本で一番よくかけられる言葉は「頑張れ」(頑張って、頑張れよ、等々)だろう。

 同じ状況で、アメリカではよく「Take it easy.」と言われるという。「気楽にね」とか、「肩の力を抜いて」という感じだろうか。他には「Good luck.」や「Do your best.」というのもあるらしい。

「Do your best.」は日本語の「頑張れ」に似ているかもしれない。ただ、あるアメリカ人に聞いたら、「ベストを尽くしているのに『Do your best.』と言われると、ちょっとムカつく」そうだ。そうかもしれない。

 日米の「頑張れ」と「Take it easy.」の違いはなかなか興味深い。

 日本の社長や部長の訓示には「緊張感を持って、取り組んでもらいたい」という類が多いイメージがある。日本には緊張感を持って取り組むのをよしとする文化があるのだろうか。それとも、人間、放っておくとダラけてしまうという捉え方があるのだろうか。

 アメリカの社長さんや部長さんが「肩の力を抜いて」的な訓示を垂れるのかどうかは知らない。「Take it easy.」はどちらかというと、個人が個人に対して言う言葉のような感じはする。ともあれ、人間、シリアスな場面では自然に緊張するものだ、あまりガチガチに緊張するとかえってよくない結果を招く、という認識がアメリカにはあるのかもしれない。

 ただまあ、言葉が運ぶメッセージというのは字義通りには捉えられないところもあっる。「頑張って」「Take it easy.」という言葉をかけるその意図は、どちらも「私はあなたの側にいる。応援している」ということだったりするので、反対方向に見えて、実は同じことを言いたいのかもしれない。

 

The Scream

“Hey!  Take it easy!”