秘技

 一昨日、「秘技・どんでん返し」について書いた。


「秘技!」と言われると「ムッ!」と来るのは、これはもう、日本人の習性みたいなものである。


 ――今、非常に安易に「日本人の習性」と書いた。
 ドイツ人やペルー人やソマリア人が「秘技!」(を意味する彼らの言葉)を聞いて、「ムッ!」と来るのかどうか、調べたわけではない。


 また、「日本人の習性」と言っても、ラモスや三都主が「ムッ!」と来るかどうかは知らないし、もしかしたら近所のトンカツ屋のおばちゃんは特に「ムッ!」と来ないかもしれない。


 だから、「日本人は」とか、「日本人の」という話は結構、いい加減だったりするのだが、とりあえず、今、そんなことはどうでもよいのであった。


 まあ、そんなことはどうでもよい、といえば、この日記自体が日々、そんなことはどうでもよいの繰り返しであり、そんなことはどうでもよいの国からそんなことはどうでもよいを広めに来たようなものなのだが、そんなこともまたどうでもよいのであった。


 ああ、なかなか、カツオ風味の本題に入れません。


「秘技・どんでん返し」というものが考えられるなら、他に「秘技・○○返し」が考えられないか、というのが今日のお題である。


 いきなり、行くよ。


  秘技・仏壇返し


 いや、いくらなんでも、あまりにいきなりだった。知っている人には申し訳ないし、知らない人は特に調べなくてよい。
 それでも知りたい、という人は(特に真面目な家風なら)なるべく家族のいない場所でどうぞ。辞書だけでコーフンできた中学時代を思い出すかもしれません。


 なぜに、仏壇なのか、という疑問を胸に残しつつ、こんなのはどうか。


  秘技・こむら返し


 これは実現できたら、忍術や武術として、かなり使える、と思う。
 何しろ、相手の足をいきなりつらせてしまうのだから。技をかけたほうが圧倒的に有利になる。


 もっとも、映像化すると、迫力には欠ける。


「秘技・こむら返し!」
「アイテテテ。ちょっと、タンマ、タンマ」
 座り込み、わらじを脱いで、必死に足の親指を引っ張る敵の忍者――。
「タンマ、なし!」
 しゃばずびっ!


 実戦向きではあるが、観客には不評だろう。


 この技は一文字変えるだけで、立場が逆転する。


  秘技・こむら返り


 勝手に自分の足がつってしまうのである。狙いがよくわからない。


 こんなのはどうか。


  秘技・微笑み返し


 うろ覚えだが、キャンディーズにそんな歌があったような……。


 敵が微笑んだら、こちらも微笑み返すのである。そうして、愛が芽生える――か、どうかは知らんが、輪になって、生ギターに合わせ、みんなで一緒に唄うのが好き。ラブ&ラブ。フラワーなボクたちって清里だね、トロピカルなキミたちってマンゴーだね、という人々には効くかもしれない。


▲一番上の日記へ