n次元にしか興味のない男達

「おれ、二次元にしか興味がないから」という言い回しがあるらしい。要するに、アニメかマンガの中の出来事にしか興味がなく、生身の女性(男性でも別にかまわないが)との恋愛はいらん、ということなのであろう。
 まあ、考えてみればおれも似たようなものである。もっとも、アニメには興味がない。言ってはなんだが、おれのようなモテモテ男の場合、物心ついて以来、恋というのはするものではなくて、常にされるものなのである。……方々から失笑が聞こえるが、幻聴だろうか?
 もとい。じゃあ、「三次元にしか興味がない」という男どもはどうなのだろう。タテヨコ高さがあるから生身の女性が対象、かと思ったら、これがまたアバターのような3D映画かピクサーのようなアニメにしか興味がなかったりして、結局、オタクだったりする。
「四次元にしか興味がない」となると、SF好き。五次元以上、となると、これはもう高次方程式にとりつかれた数学者か数学マニアであって、あれも一種のオタクだから、結局、「n次元にしか興味がない(ただし、nは正の整数)」男どもというのはオタクばかりなのかもしれない。
 おれが興味あるのは「一次元にしか興味がない」人である。そんな人がいるのかどうかは知らないが、いたとしたらどんなのだろう。何しろ、線にしか興味がないんである。線と言ったって曲線については曲がり方には興味がない(曲がりというのは二次元の領分だから)。「おおおお、この線分、この長さの微妙さ、たまらん」、「け。つまんねえ、半端な長さじゃねえか」などと身悶えたり、小馬鹿にしたりするのだろうか。そういう人がいたら、ぜひ会ってみたい。いや、別に会いたかないか。