「○○って何だと思います?」という言い回しがあって、これをやられると、返答に困る。
「○○」のところにはいろいろ入る。仕事、家庭、家族、人生、宗教、政治、教育、広告、インターネット……等々、等々。
例えば、「稲本さん、ラーメンって何だと思います?」と訊かれた場合、むろん、先方は「かん水を使った麺を、鶏ガラ、豚骨、鰹節、煮干しなどのダシを使ったスープに入れて食する日本の食品。醤油味の中華風スープを使うのが元だったが、味噌、豚骨などのスープも普及し、多様化が進んでいる」という事典的な答を求めているわけではない。
かといって、「んーと、世界平和かな?」などと、あまり離れすぎた答をするのも考え物で、相手によっては話の腰を折られた気になって、会話がシラケてしまうかもしれない。
「わからないなあ」と、とぼけるのが、まあ、穏当だ。しかし、それもちょっと味気ない。
こういうふうに困るのは、相手と話を合わせたい、というスリヨリのココロ、あるいは会話を上手に運ばねばの娘、というプレッシャーがあるからで、さすがは和をもって尊しとなす瑞穂の国はまほろばの美しい日本の私、ああ、ディスカバー・ジャパンである。少々、シンドイが。
でもって、千々に心乱れて、小さな胸を痛めるうちに出てきた先方の答が、「ラーメンってね、世界平和ですよ」だったりして、実にどうも、困った言い回しである。
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「今日の嘘八百」
嘘七百七十三 タクシーでビール、はグレートなアイデアだと思うのだが。