化粧の技術

 わたしは化粧をしたことがないから(相当、悲惨なことになるのは目に見えている)、実際的なことはよくわからないのだけれども、あれはやはり、人によって、だいぶ技術が違うんだろう。


 見ていると、いろんな人がいる。


 薄化粧もあれば、厚化粧もある。整える、という考え方の人もいれば、描く、というコンセプトの人もいる。
 中には、ほとんどこれは創作の域に達しているのではないか、その創造性と勇気を評価してあげたいという人もいるし、いっそ、左官仕事と呼んだほうがよさそうな人もいる。


 あるいは、隠蔽工作とか、一種の詐欺ではないか、というケースもあるのだが、あまりこれについて具体的に書くと、今晩遅くに多摩川をわたしの体が流れているかもしれない。


 まあ、やはり、男の目から見ても、“ああ、この人は化粧が上手だな”と思う人がいる一方で、“テクニックが足りなかったのでしょうか”と感じる場合もある。


 スポーツ、木工、絵画、料理、機械修理、たいていの物事では、技術を褒められると、人間、うれしいものだ。


 しかし、化粧の場合はどうなんだろう。


 一度、女性に「いやあ、お化粧、上手ですねえ。大した技術だ」と言ったらどうなるのか、試してみたいと思っている。


 喜ぶのだろうか、それとも素顔を馬鹿にされた気になって怒るのだろうか。


 興味はあるのだが、オソロしくてまだ実行に移していない。

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「今日の嘘八百」


嘘五百三十二 地球温暖化のうち、海水面の上昇については、氷のほうで何とか頑張ってもらうことで話がついたそうだ。