間男

 不倫の前は何と呼んでいたかというと、浮気だ。この言葉はまだ使っている。あんまり学校じゃ教えないが。


 その前はというと、今では落語くらいでしか聞かないが、間男である。間女という言い方はたぶん、ない。男が圧倒的に手前勝手にできる時代だったからか。


 他には、不貞、密通、姦通なんて言葉があるけれども、あたしは間男の響きが好きだね。どこか抜けていて。


 間男だって、不倫だって、本質的には同じである。不倫と呼んだほうが化粧品が余計に売れる程度の違いだ。


 これを読んでいるミナサンには、「不倫」という言葉を見かけたら、「あ、間男ね」とつぶやいてみることをオススメする。
 石田純一サンのケースなら、「間男は文化だ」となる。


 あ、あれは女のほうじゃなくて、男のほうが結婚してたんだっけな。そういうときは、「ちょっかい」とか、「火遊び」と言ったらしい。


 噂話だって、間男を使ったほうが楽しくなるよ。


「山田さんとこの奥さん、間男してるらしいわよ」
「あらあ」


 こっちのほうが不倫なんぞより、気取りがなくってずっといい。



江戸時代、不義密通により公衆にさらされる男女『日本の礼儀と習慣のスケッチ』より、1867年出版

不倫 - Wikipediaより

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「今日の嘘八百」


嘘三百五十七 恋はするものではなく、してしまうものである。わたしにとっては、されてしまうものである。


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