やりとり

 最初に書いておくと、わたしはサッカー日本代表にそれほど興味がない。
 面白そうな試合で、時間があったら、たまにテレビで見る程度だ。


 昨日の試合も見なかった。


 しかし、オシム監督のインタビューは面白いなあ、と思っている。正確には、報道陣とオシム監督のやりとりが、だ。


 次のリンク先は、イエメン戦の前日(一昨日)の、オシム監督の記者会見だ。


J's GOAL - 【日本代表 対 イエメン代表】オシム監督(日本代表)前日会見コメント


 冒頭から小気味いい。


 記者の「明日の試合に向けて?」という、あまりに漠然とした質問に、


「コメントはありません。スポーツジャーナリストにふさわしいレベルにみなさんが達するまで質問を待ちたい」


 言うね、またオシム監督も。


 わたしはこれを読んで、ザマーミロ、と溜飲を下げたのだが、考えてみれば、別に溜飲下げる筋合いなぞ、わたしにはないんであった。


 まあ、間抜けが間抜けなことをしたせいで間抜けな目にあった、ということをヨロコぶ、卑怯者のヨコシマな神経なのだろう。
 あるいは、仲間が見つかってうれしい、という野生のベンガルトラみたいなことなのかもしれない。


 それはともかく、オシム監督は、記者がつまらない質問や、意図のよくわからない質問をすると、質問で切り返すようにしているらしい。


 どのニュース番組だったか忘れたが、あるスポーツアナウンサーが「僕らも勉強しなくちゃいけませんね。質問されるから(笑)」と笑っていた。
 今までは勉強していなかったんかいな、と呆れた。というのは嘘で、「正直だなあ」とちょっと笑った。


 少なくともこれまで、サッカー日本代表の試合後のインタビューは――わたしがたまに見る範囲では――中継を終了するための、一種の儀式だったと思う。


 プロ野球の試合後のヒーローインタビューみたいなものだ。ヒーローインタビューで、打撃理論について鋭く切り込むアナウンサーはいない。
 そこで重要なのは話の内容ではなく、進行であり、番組の流れの変化であり、シメである。歓声が起きれば言うことはない。ブーイングならもっといい。
 

 しかし、オシム監督に対してはそうはいかないようだ。
 インタビューには、じゃんけんで負けたアナウンサーが行くことになるんじゃないか。一種の罰ゲームとして。いっそ、泣きながら、質問してほしい。


 ところで、オシム監督は、そのうち、日本サッカー協会と対立して、辞任してしまう気がするんだよなあ。
 わたしのいっこう当てにならない霊感が、そう申しております。