オヤジギャグ110番

 オヤジギャグの困るところは、特に企業においては、上司・部下、先輩・後輩、年上・年下などの上下関係の故に、しばしば被害者が曖昧な、困ったような笑いを浮かべざるを得ないところだ。


 人によっては、非常な苦痛を覚える。しかし、自分ひとりで抱え込まざるを得ない。思い悩んだ末に、退職してしまうケースもあると聞く*1


 オヤジギャグを聞くと、やる気が萎えることも、問題だ。


 稲本総研の調査によれば、オヤジギャグは社員の生産性を低下させることにより、日本のGDPを約0.2%押し下げている(2004年度調べ)。オヤジがオヤジギャグを考える時間の機会損失も含めれば、その数値は0.25%にまで至るという試算もある。


 わたしは、ここに、オヤジギャグ110番の創設を訴えるものである。


プルルルル。
「ハイ! オヤジギャグ110番です!」
「……」
「もしもし。もしもし」
「あ、すみません。あの、ちょっと」
「大丈夫ですよ。初めての方は、よく、電話がつながってから気後れされるんです。この会話は秘密厳守ですから、安心してください」
「は、はい」
「何でしたら、わたしのほうから質問しましょうか。そのほうが話しやすいでしょう」
「あの、お願いします」
「答えたくない質問には黙っていらっしゃって結構ですよ。まず、オヤジギャグを言った方と、あなたとのご関係を教えてください。会社の方ですか。それとも、ご家族とか、近所の方?」
「私の上司です。か、課長です」
「ははあ。それはお困りでしょうね。常習犯ですか、それとも、初犯?」
「は?」
「よくオヤジギャグを言う方なのか、今回が初めてなのか」
「とても多いです! 一日何回聞かされることか。もう、会社にいるのが、苦痛で苦痛で」
「そうですか。例えば、どのようなオヤジギャグを?」
「あの、『白菜食べたら、歯〜臭い』とか」
「それは超弩級のオヤジギャグですね」
「『ゾ〜ッとしたぞお』とか」
「ベタ過ぎます」
「『ナノ・テクノロジーなのう!』とか」
「それは相当に悪質ですね。わかりました。すぐに逮捕いたします。大筒持って駆けつけますよ!」
「は?」
「大砲で逮捕! なんつて。ワハハハハハハ」
ガチャッ。


 安易に人を信じてはいかんということである。


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「今日の嘘八百」


嘘二十五 消防車が赤いのは保護色だから。

*1:聞きません。