天覧試合

 昨日は、長嶋茂雄が野球を見に来たというので、大騒ぎなのであった。
 日本テレビの中継は、(試合内容なぞ関係なく)結構な視聴率を稼いだのではないか。


 ニュースでは、カメラが球場に長嶋の乗ったクルマが着くところから捉えていた。
 VIPルームからファンに手を振ったりして、ほとんど天覧試合だった。


 以前に、山羊(id:yagian)が長嶋のことを「民間天皇」と書いていたけれども、言い得て妙だと思う。


 天皇憲法上、日本国を象徴する存在とされる。


 憲法の条文を借りて、「長嶋茂雄は、○○の象徴であり」とやらかすと、○○には何が入るだろう。
「巨人」であり、「プロ野球」であり、「昭和30年代〜40年代」であり、「テレビ普及期」であり、「大衆文化」であり、こう並べてみると、何とも大仰な存在だ。


 本人や身近な人にとって、病気というのはもちろん、シビアな問題だ。
 しかし、世間的な視点で見るなら、容易に姿を見られなくなった分、その神秘性、象徴としての存在感は強まったような気もする。


 ともあれ、VIPルームから笑顔で手を振るだけで絵になるのだから、華のある人物ではある。