無人島にひとつだけ

 「無人島にひとつだけ持っていくとしたら、何を持っていきますか?」という質問がある。


 そもそも、なぜ無人島に行かなければならないのか、よくわからない。と、こう訊き返すと、相手は嫌な顔をするだろう。
 無人島に行く目的や、どんな無人島なのかによって持っていくものは違ってくるだろうし、なぜ「ひとつだけ」しか許されないのか。ふたつ持っていこうと、みっつ持っていこうと、こっちの勝手じゃないか。そこんとこ、どうよ!?――というのは、まあ、理に走った考えであまり面白くはないですね。


 私だって大人だから、というより、面白いものが出てきそうにない摩擦は面倒なだけだから、面と向かって、そんなことは言わない。


 たぶん、「あなたにとって、○○とは何ですか?」という、ありがちな質問と同じで、相手のキャラクターや物の考え方、「意外な一面」というものを引き出そうとする質問なのだろう。
 どちらも、あまりに大ざっぱではあるけれども。


 「携帯電話」と答えた人がいたそうで、なるほど、こういうのなら裏返しの裏返しみたいで、まあまあ面白い。もちろん、「電波の届かない範囲」である可能性は高く、そもそも無人島にコンセントはない。
 「常識」とか、「礼節」などと答えると、意外性はあるかもしれないが、ちょっと嫌味である。


 「衣服」というのはどうだろうか。というか、衣服を持っていけないとしたら、上記の人々は、無人島で素っ裸で携帯電話をかけたり、常識や礼節は持ち合わせながらも全裸でいたりするのか。


 私なら何と答えるだろう。つい、おちょくりたくなって、「ビオフェルミン」とか、答えるかもしれない。あるいは、「恋心」とか、「権力への意志」とかね。


 真面目に答えるなら、ド近眼なので、サバイブするには、何をおいてもまず「眼鏡」なんだけど。
 全裸に眼鏡。アイム・セクシー?


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