相撲取りのしこ名というのは、どういうふうに決めるのだろうか。
落語家の場合は、師匠がつける場合が多いようだ。三遊亭新潟、三遊亭かつお、三遊亭イワシ、三遊亭おまえ、三遊亭あん太、などなど、特に三遊亭方面には師匠がシャレでつけたとおぼしきものが多い。
もっとも、落語家の場合は出世すれば名前が変わっていくから、前座の頃は馬鹿馬鹿しくても客に覚えてもらえる名前のほうがいいのかもしれない。
相撲の場合も、たぶん、親方がつけるのだと思うが(以後、そういう前提で書く)、あれ、弟子は嫌だと言えるのだろうか。
落語も相撲も、師弟関係は厳しいだろうから、どうも否応なし、という気がする。
最近は、幕内力士の国籍もさまざまになってきた。
外国人力士の場合は、しこ名もちょっと日本人力士とは違うふうにするようだ。
ただ、少々気になるのだが、親方衆はどうもテキトーに命名しているフシがある。
朝青龍とか、白鵬とか、旭天鵬とか、モンゴル出身の力士は普通の名前をもらえるのだが、他の国はどうもいけない。
グルジア出身だからというので、
というのは、ちょっと乱暴なんじゃないか。もう少し考えてやってもいいように思う。そのうち、アゼルバイジャン出身の力士が登場したら、「カスピ海」なんていうしこ名にされてしまいかねない。
上には上がいて、ブルガリア出身の力士はこうだ。
あまりに大ざっぱすぎると思うのである。
まあ、この力士については、琴ヨーグルトにされなかっただけ、まだよかったとすべきかもしれないが。
確か、既にふたりとも引退したと思うが、アルゼンチン出身で、
星誕期(ほしたんご)
星安出寿(ほしあんです)
という力士もいた。
突然だが、ここで、「大相撲の親方衆は、弟子の出身地が日本から離れれば離れるほど、命名がテキトーになる」という仮説を提示させていただきたい。
外国人力士の命名にあたって、親方衆は「知っている単語をつければよい」と、非常に安易に考えているんじゃないか。しかも、その知っている単語および地理的知識は驚くほど限られているのでは、と、私はそのように疑っているのである。
外国人力士に対する、親方衆の命名のテキトーさは、頭に三遊亭とつけてみればわかる。
たとえば、日本人力士で、
は、あまり落語家っぽくないが、外国人力士で、
三遊亭黒海
三遊亭欧州
三遊亭誕期
三遊亭安出寿
となると、前座〜二ツ目時代の名前としてぴったり来すぎる。しこ名の落語化という現象が、ひそかに進んでいるのではないか。
かといって、落語家の名前をしこ名にしてしまうのもマズい。
琴こぶ平
となると、何となくだが、いくら本人に実力があろうと、横綱までは行けないような気がするのだ。本人にはまるで責任のないところで、「品位に欠ける」と横綱審議会が言い出しそうだからである。
「ただいまの決まり手は寄り切りィ〜、寄り切って、琴こ、こぶ平の、ワハハハハハ」
場内アナウンスの人も、不覚をとって爆笑してしまいそうである。