昨日、立川談志、古今亭志ん朝、三遊亭圓楽、月の家圓鏡(今の橘家圓蔵)が、かつて東京の落語の若手四天王と呼ばれていた、というようなことを書いた。
わたしが生まれるか生まれないかくらいの頃の話だから、もちろん、実体験としては知らない。
何しろ、こちらはその頃、「アバババ、バ〜」と大人が変な顔をしただけで大爆笑していたのだ。思えば、あの頃が人生の絶頂期であった。
この4人、ビートルズのメンバーに重なるように思う。
立川談志 ジョン・レノン
古今亭志ん朝 ポール・マッカートニー
三遊亭圓楽 ジョージ・ハリスン
月の家圓鏡 リンゴ・スター
立川談志は革新の気が強い。いや、革新というと、昔の社会党みたいでアレだが、ラジカルというか、最近の政治家が安直に使ってイヤなのだが、リベラルというか。
もちろん、伝統主義的な人でもあるのだけれども、いったん、その伝統を解体してみないと気が済まないらしい。
観念的でもあり、「落語とは人間の業の肯定である」なんていうことをバシンと言ってしまう。
そんなところがジョン・レノンとよく似ていると思う。
政治についての発言も多いし(ま、さすがに談志は共産主義に共感したりはしないけど)、唯我独尊的で、まわりが馬鹿に見えてしょうがないらしいところも似ている。
ジョン・レノンは凶弾に倒れたが、談志も大阪で兇漢に襲われたことがある。
刀で額を横一文字に斬られて、見舞いに来た毒蝮三太夫が「貯金箱みてえだ。アハハハ」と大笑いしたそうである。
対して、志ん朝は理屈をこねない。
オーソドックスな落語の枠を超えることを嫌うし、噺がわかりやすく、文句なく楽しい。観念よりは風情を大切にする。
自分が生まれ育った東京の言葉への愛着も強いようだ。独特の唄い調子は多くの落語家が真似しようとして真似できないらしく、調子が乗ってくると、ほとんど音楽といっていいんではないか、と思う。
音のセンスに優れて、保守的であり、また、解体・再構築するよりは、すでにあるものを上手に使う点で、ポール・マッカートニーに似ていると思う。
談志と志ん朝の間柄は、若い頃からいろいろ複雑だったと聞く。しかし、お互いを、我々凡人にはうかがい知れないレベルで理解していたらしい点で、やはり、ジョン・レノンとポール・マッカートニーの関係に重なる。
月の家圓鏡=リンゴ・スターは、まあ、キャラクターの問題ですね。愛すべきキャラクター。
リンゴ・スターは、「人気投票では全然3人にかなわないけど、2番目に好きなメンバーを選ぶ投票だったら1番になれるよ」という発言をしているそうで、ナルホド、わかる気がする。
2人ともあまり字の読み書きができないらしいところもよく似ている。
三遊亭圓楽=ジョージ・ハリスンは、ちょっとねえ。自分で書いていても無理矢理なのだが、残りの1人ってところで。あ、失礼ですか。
でも、わたし、ジョージ・ハリスン好きなんだけどね。特に、ビートルズの終わりの頃とか、解散後の最初のアルバム「All Things Must Pass」とか、凄いなあ、と思う。
四天王は、最初は月の家圓鏡ではなく、春風亭柳朝だったという。
落語家の間のややこしい事情で柳朝が外れたらしいが、事情はよくわからない。
なので、柳朝は、ビートルズのデビュー前に辞め、幻のメンバーと言われるスチュアート・サトクリフ。
ますますもって、無理矢理である。
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「今日の嘘八百」
嘘七百七 隣の家の子が次のダライ・ラマに指名されて、親子ともども困惑している。