2012-01-01から1年間の記事一覧

世の金次郎化

自転車に乗っていて危ないことのひとつに、スマートホンを見ながら歩いている人というのがある。注意深く避けるようにしているのだが、何しろ敵はまわりが見えていないから怖い。何ヲソンナニ夢中ニナッテイルノデアロウカ、といつも不思議に思う。 似たよう…

成長パラノイア

外出先で読む本がなくて本屋で適当に買った本が案外とよかった。イギリス近代史講義 (講談社現代新書)作者: 川北稔出版社/メーカー: 講談社発売日: 2010/10/16メディア: 新書購入: 4人 クリック: 102回この商品を含むブログ (52件) を見る イギリス史の川北…

クラクションで世界観は変わる

街を歩くと、東京は随分とセカセカ、ギスギスしておるなあ、と感じる。クルマがびしばしと行き交い、割り込むやつやどんくさいやつにクラクションをブーブー鳴らし、急発進してタイヤをきしませる。プッシュ、プッシュ、前へ、前へ、急げ、急げ、ラッシュ、…

水戸黄門と諸葛亮

前回、あくまでおれなりの整理だが、統制主義、裁量主義、ルール主義について書いた(id:yinamoto:20120514)。 統制主義というのは個人(独裁者)や特定の集団(党だったり、軍部だったり、官僚だったり)が社会の細々したところまで強権的に統制する形で、…

統制主義、裁量主義、ルール主義

以前から疑問に思っているのだが、左翼、右翼という分け方は有効なんだろうか。いやまあ、無意味とまでは言わないが、ちょっと流布しすぎているように思う。 yagianも書いているが(id:yagian:20120508)、左翼と右翼は実は近い。左翼も右翼も、ある方向性に…

保守とは何か

「保守的」という言葉がある。なかなかに複雑多岐に渡っていて、捉えがたいように思う。 例えば、1980年頃の英米の首脳はサッチャーとレーガンで、二人とも超保守派と言われた。一方で、中国共産党にも保守派と呼ばれる人がいた。サッチャー、レーガンと中国…

次郎長三国志を見る

マキノ雅弘監督の「次郎長三国志」全9本を見た。1952年から1954年にかけて作られた作品で、名作の名は高かったのだが、ずっとビデオ化もDVD化もされていなかった(非売品では存在したらしいが)。涙あり笑いありのまさに痛快娯楽時代劇で、非常な活気があり…

仮名手本忠臣蔵を見る

土曜日に新橋演舞場で仮名手本忠臣蔵の通しを見た。 中村福助を別とすれば市川染五郎、市川亀治郎、尾上菊之助、尾上松緑と、三十代から四十くらいまでの若い役者が中心で、どうなるのかなと思っていたのだが、溌剌として、思いの外よい舞台だった。 特に染…

進化の戦略ってあるんだろうか

土日は桜を見に、自転車であちこちを駆け回っていた。場所によって多少異なるけれども東京のソメイヨシノの花は今が全盛のようだ。 ソメイヨシノは見事な花をつけるけれども、種子から育つことはない。今、大量に日本中に生えているソメイヨシノは接ぎ木によ…

爆発的進化の条件

増田俊也著「木村政彦はなぜ力道山を殺さなかったのか」を読んだ。木村政彦はなぜ力道山を殺さなかったのか作者: 増田俊也出版社/メーカー: 新潮社発売日: 2011/09/30メディア: 単行本購入: 21人 クリック: 475回この商品を含むブログ (130件) を見る 戦前か…

宗達・蔦の細道図屏風が好きだ

先週京都に行った際に相国寺の承天閣美術館で俵屋宗達の「蔦の細道図屏風」を見た。 見るのは二度目で、以前はどこで見たのだったろうか。最初に見たとき少々大げさだが心動かされ、今回見て、やはり素晴らしい、と思った。 蔦の細道図屏風は左右二枚からな…

北斎と抽象

土日に京都へ行った。なかなか発見の多い小旅行だった。いくつか書きたいことがあるのだが、今日はとりあえず北斎について。 京都文化博物館というところでホノルル美術館の北斎展をやっていて、時間があったのでのぞいてみた。 おれは北斎が好きで好きでた…

おのれの意見を一般化しようとする気恥ずかしさ

Wikipediaは一応百科事典ということになっていて、ある程度客観性を保つことが重要な方針となっている。誰でも書き込めるのだが、書き込む場合は出典を明らかにできるなどの条件があり、客観性を担保しているかどうかボランティアの人が確認してまわっている…

飛行機の売り方について

金曜日の夜に福岡空港のビアホールでビールを飲んでいたら、窓の外にこんな飛行機が降りてきて、のけぞった。→ ポケモンジェット 同行の人と大笑いしたのだが、搭乗時間になって飛行機に向かうと、自分が乗るのが件のポケモンジェットであった。もっとも、機…

人間には二種類いる

「人間には二種類いる。○○するやつと○○しないやつだ」という言い回しがあって、なかなか気に入っている。 二分できる話ならたいてい通用するのがよいところで、例えば、「人間には二種類いる。壁を前にしてよじ登るやつと諦めるやつだ」でもよいし、「利用す…

尾籠な話

今日は尾籠な話なので、その手の話の苦手な方はご容赦を。 ここ何日か風邪気味で、といっても熱はなく、もっぱら腹のほうに来た。人間が生きるということの辛さを思い知らされた。お釈迦様も胃腸が弱かったそうだから、きっとそのような背景もあって、人間の…

虎の威を借る

この間のブログでは、漱石先生も若冲を買っていなかったようだ、というようなことを書いた。漱石先生もそう言っておるのだ、という典型的な虎の威を借るパターンである。 虎の威の借り先としては、夏目漱石と森鴎外が便利である。このふたりが言っている、と…

絵と厚み、深み

昨日は伊藤若沖の生誕296年(かなんかそのあたり)で、Googleのトップのイラストにあしらわれて(たぶん、日本のみ)、一部で話題になったようだ。 若沖は、時折注目を集めては廃れる画家らしく、しかもそれは現代に限ったことではないようで、何の本だった…

ヤンキー座りの起源

映画「息もできない」を見た。随分前から見たいと思っていたが、レンタルビデオ屋でいつも借りられていた。 予告編はいかにも映画の宣伝的に誇大な表現が躍っているが、本編は暴力や心の動きを淡々と撮っている感じである。音楽の使用も最小限で、それが効果…

語り物盛衰

日本には語り物の系譜というのがあって、能や謡曲、平曲から浄瑠璃、浪花節まで芸能の大きな柱だった。浄瑠璃はさらに、義太夫節、豊後節、常磐津節、富本節、清元節、新内節などに分化していく(んだそうだ)。正直、おれにはどれがどうというのはよくわか…

敗戦と原発事故

ジョン・ダワーの「敗北を抱きしめて」を読んでいる。 第二次世界大戦のポツダム宣言受諾から連合軍の占領が終了するまでの生活、文化、政治、経済を膨大な資料から再構成しようとする試みである。 第一五章「勝者の裁き、敗者の裁き」と第一六章「負けたと…

歴史と神話伝説

大河ドラマの「龍馬伝」を見て、坂本龍馬のファンになった人が結構いるようである。あるいは司馬遼太郎の「龍馬がゆく」も、おそらくは現在流布している龍馬像の原型になっており、「龍馬がゆく」を読んで坂本龍馬が好きになった人も多いだろう。 さて、ああ…

自動車と自転車

自転車に乗っていて、ふと実にどうでもいいようなことに思い当たった。「自動車」という言葉を誰がいつ作ったのかは知らないが、おそらく、「自ら動くクルマ」ということなのだろう。同じ伝でいえば、「自転車」は「自ら転がるクルマ」ということになる。実…

読点の機能

前回書いた語の順番にも関係するのだが、わかりやすい文を書くには読点(、)をどう打つかもポイントのひとつだ。 読点がいつから使われるようになったのかは知らないが、現在の読点の機能は英語におけるコンマ(,)の使用法に似ている。もしかすると、明治…

わかりやすい文のコツ

以前、文章というのは直感とセンスで書くものだと思っていた。 しかし、ある時期に文章読本の類をまとめて読んでみたことがある。それからは、わかりやすい文章はある程度理屈で書けるものだと考えるようになった。今でも直感とセンスは大切だと思っている。…