ヤンキー座りの起源

 映画「息もできない」を見た。随分前から見たいと思っていたが、レンタルビデオ屋でいつも借りられていた。

 予告編はいかにも映画の宣伝的に誇大な表現が躍っているが、本編は暴力や心の動きを淡々と撮っている感じである。音楽の使用も最小限で、それが効果をあげている。何より、出てくる役者ひとりひとりの細かな演技が素晴らしい。監督で主演のヤン・イクチュンは演技とは言え、本当に目が死んでいるように見える。

 ところで、ふと抱いたくだらない疑問なのだが、主人公のチンピラがヤンキー座りをするシーンがある。日本のヤンキーと同じく、しゃがんで、膝の上に乗せた腕をまっすぐに伸ばす形である。あれはどこが起源なのだろうか。日本が朝鮮を支配していた時期に日本から朝鮮へと伝わったのか、あるいは逆に日本に来た朝鮮人の少年達から広まったのか、もっと後の時代のテレビか何かによる影響なのか、それとも汎東アジア的に元々あるスタイルなのか。中国の不良少年はヤンキー座りをするのだろうか。

 かれこれ二十年前の話になるが、韓国の田舎に行ったときに地元のお百姓のばあさんたちが道ばたに並んでいわゆるうんこ座りをしていて、その姿が日本のお百姓さんとまったく同じなので驚いたことがある。伝搬なのか、それとも普遍的な格好なのかはわからない。しかし、ヨーロッパのお百姓さんが道ばたでうんこ座りしている姿はあまり想像できず、世界レベルでは地域差がありそうな気もする。インドの、アフリカの、中南米のお百姓さんはどうなのだろう。