2008-01-01から1年間の記事一覧

おせっかい

ビール酒造組合なる団体が、「STOP! 未成年者飲酒」と題して、こんなコピーの広告を出している。 飲みたがる 10代は、少ない。 飲ませたがる オトナが、 実は多い。 コピーの様式に酔っちゃってるんじゃないかという感じもあるが(ビールの団体であるし)、…

日常のスリル

書店のレジに並ぶと、わたしの前に赤ちゃんをぶら下げた母親がいた。 赤ちゃんは生まれて数ヶ月というところだろうか、何と呼ぶのかわからないが、小舟のような形のキャリーの中で眠っていた。 絵で描くと、こんなふう。弁当売りみたいでもある。 首がすわる…

身体性

身体性という言葉がある。 評論や、小理屈を並べ立てるタイプの建築家の文章なんかで、見かける。 意味としては、体を大切にしましょう、と言うと、何だか健康づくり、元気が一番、みたいな話に聞こえてしまうが、ンーと、体から感じ取ることを大切にしまし…

小林秀雄の講演

小林秀雄講演 第2巻―信ずることと考えること [新潮CD] (新潮CD 講演 小林秀雄講演 第 2巻)作者: 小林秀雄出版社/メーカー: 新潮社発売日: 2004/01メディア: 単行本購入: 9人 クリック: 116回この商品を含むブログ (56件) を見る 小林秀雄が晩年に行った講演…

琳派だからと並べてよいのか

琳派と銘打った展覧会に行くと、たいていは、俵屋宗達〜尾形光琳/尾形乾山兄弟〜酒井抱一、鈴木其一と時代順に並ぶようである。 しかし、わたしの好みもあるのかもしれないが、抱一や其一を並べるのはどうなのだろうか。前の代の人々に比べて、力が格段に落…

書の楽しみ方

東京国立博物館に「大琳派展」を見にいった。 俵屋宗達を見たかったからで、宗達だけで結構な点数が出ており、満足した。 宗達はいい。どんどん好きになっている。 琳派の他の画家が、様式に浸ることで満足しているように見えるなか、宗達だけは絵に独特の生…

滝登り

昨日、大して深い意味もなく、「まな板の上の鯉」と書いた。 鯉というのはよく見るとなかなか面妖な魚で、あの顔を見るたびに、わたしは“もしかして馬鹿なのではないか?”と思うのだが、東洋ではおめでたい(馬鹿という意味ではない)魚とされているようであ…

拷問

今、歯医者に通っているのだが、あの歯医者の椅子に座っている間は、日常生活の中でもかなり特殊な時間のように思う。まな板の上の鯉、という言葉を思い浮かべる。 まな板の上の恋 すみません。 椅子に仰向けとなり、歯医者が何やらコリコリやっている間は何…

改造

数日前に、体重10kg程度の超小型のブタが開発された、という新聞記事があった。 → asahi.com:体重10キロ「ミニミニ豚」 医療実験用に品種改良 これまではペット用のミニブタでも体重20〜40kg程度だったというから、生で見たら相当に小さいのではないか。 …

1位だが無駄

ほぼ毎日ブログを書いているせいか、あるいは、はてなダイアリーにぶら下がっているせいか、検索を使ってこのページにいらっしゃる方が多いようだ。 無用なことしか書いていないので、アクセスして、すぐ、チッ、と舌打ちとともに立ち去る方も多いだろう。申…

野暮

大相撲の八百長騒動の報道を見ると、ヤボチンスキーだなあと思う。 八百長を叩く側は、まるで正義こちらにありというふうだが、一面的で生硬で、物の捉え方が痩せている。 見方が意地悪くて申し訳ないが、あれ、騒いでいるのは大して相撲が好きでない人達で…

文化デジタルライブラリー

なかなかよくできておるなあ、と思ったので、ご紹介。 国立劇場を運営する日本芸術文化振興会が、「文化デジタルライブラリー」なるサイトを持っている。 → 文化デジタルライブラリー 項目によってコンテンツを制作した会社が異なるようで、玉石混淆という感…

清原と桑田

清原と桑田を見ていると、時間の流れというものを感じる。 わたしは清原、桑田とほぼ同年代で、特にファンというわけではなかったが、あれだけの選手であるから、折々、目にはしてきた。 マスコミを通しての2人のイメージは随分と変わったように思う。 PL学…

掛け声

今朝の朝日新聞に「寄席の掛け声 ちょっと待った」という記事が載っていた。サブの見出しに「『ブーム』で乱発気味 芸の質落とす心配も」とある。 掛け声が落語の芸の質を落とすかどうかはわからないが(関係ないのではないか)、落語の会に行くと、確かに間…

船首

無用なことばかり考えている。 帆船などの木造船以前の船首には、たいてい像が掲げられている。 Googleの画像検索で「船首像」と検索してみると、いろいろな船首像を見ることができる。 → Google画像「船首像」 ライオンや龍、女神様、なんていうのがメジャ…

こいる先生が行く

昨日、「昭和こいる師匠」と書いたら、寄席演芸の世界で漫才師には先生の敬称を用いる、というご指摘をいただいた。 漫才師に師匠をつけるのは、全国を席巻している上方の流儀なのかもしれない。 最初は、「昭和こいる先生」と書くのに違和感を感じたけれど…

こいる師匠と仙人

前に書いた覚えがあるが、わたしは漫才の昭和のいるこいるが好きで、テレビなんかで見かけると、ただもうそれだけでウレシくなる。 のいるこいるの漫才のパターンはいつも一緒で、のいる師匠の真面目な話に、こいる師匠がテキトーな相槌を打つ。それだけであ…

ハードボイルド的

例によっての突拍子もない思いつきで恐縮だが、日本には、和歌、俳句、狂歌、川柳といった、フレーズを創作する文化がある。 詠む会を催したり、発表の場を設けたり、投稿したり、歌集、句集を出版したりして、作品をやりとりする。著作権もあるのだが、適用…

子どもの描く絵

稲本喜則、四十一歳の絵である。一生懸命描きました。 小学生低学年くらいの女の子が落書きしそうな絵を描いてみたら、こうなった。 わたしは心の汚れた大人であるからして、計算して描いたところもある。“小さな女の子はこんなふうに絵を描くんではないか”…

何が楽しいのか

わたしは、ショッピングがあまり好きではない。 どうやら、あれを買うかこれを買うか、迷う状態にいるのが嫌であるらしい。勝負はさっさとついたほうがよい、と考えている。 ショッピングが好きな人は、迷う状態が楽しいらしいが、わたしには煩わしいだけで…

ショッピング

経験のある多くの人が感じることだと思うが、インターネットで物を買うときには、お金に対する現実感があまりないようである。 もちろん、数字は見る。¥20,000なら¥20,000、¥30,000なら¥30,000と把握はする。 その金額と、貯金残高なり、これから使う予…

武蔵川理事長の地味な改革

日本相撲協会で、不祥事が重なって引責辞任した北の湖理事長に代わって、武蔵川親方が理事長に就任した。 新理事長としての最初の改革は、 立合いのとき、ちゃんと両手をつく。 というものであった。 何とも地味な改革である。 しかし、これで相撲が面白くな…

妄想姫

義太夫は、古い言葉や言い回しが出てきて、ぼんやりしていると筋がわからなくなることがある。なので、今回はあらかじめ床本(シナリオ)を読んでから見にいった。 芝居を見ているときはすんなり見てしまうが(頭がパーになっているのだろう)、床本を読むと…

文楽九月公演

先週、先々週と国立劇場に文楽の東京公演を見に行った。 昼の部は人形遣いの豊松清十郎襲名披露公演ということもあってか、主立った太夫(義太夫を語る人)が並んだ。演目は「近頃河原の達引」と「本朝廿四孝」。「近頃河原の達引」がエンターテインメントで…

国語改革疑似体験

戦後育ちの人間にはあまりよくわからないが、戦後まもなくの頃の日本語の書き言葉は、大きく変貌して、なかなか大変な状況だったらしい。 仮名遣いが旧仮名遣いから現代仮名遣いに変更され、公文書やメディアで使用すべき漢字の制限が行われた。「學→学」の…

効率と目的(続)

昨日の続き。日本語のローマ字(化)論について。 わたしは、ガキの時分から慣れ親しんでいるせいもあるが、日本語の漢字、ひらがな、カタカナ、欧文が乱れ飛ぶ手法を気に入っている。 例えば、「におい」、「匂い」、「臭い」、「ニオイ」と書くと、それぞ…

効率と目的

終戦直後、GHQとその関連団体の中で、日本語のローマ字化を図る、という考えがなかなかの勢力を誇っていたという。 GHQの招きで日本を訪れた第一次米国教育使節団が、学校教育、新聞、定期刊行物、書籍でのローマ字の使用を推奨した。 昭和21年3月に提出され…

気弱な人

弁護士が教える 気弱なあなたの交渉術作者: 谷原誠出版社/メーカー: 日本実業出版社発売日: 2008/08/28メディア: 単行本(ソフトカバー)購入: 7人 クリック: 81回この商品を含むブログ (15件) を見る という本があるそうだ。いや、読んでいないので、内容は…

んが

がんにかかった人、あるいは、その身のまわりの人、がんで親しい人を失った人の話を見聞すると、重苦しい気持ちになる。 わたしも、祖父が比較的若いうちにがんで亡くなっており、他人事とは思えないところがある。 がんは、現代で最も厄介で、不安をつのり…

もっともらしいことを言ってみせる

福留功男が豪華なテレビセットの前で「我々は、大量生産大量消費大量廃棄を見直す時代に来ているのかもしれません」と語っていた。