街の声

 日本のテレビニュース番組にはいろいろと不思議なコンテンツがあって、「街の声を聞いてみました」という例のアレもそのひとつだ。

 たとえば政治方面で何かがあるとインタビューアーが街に出ていって、道ゆく人にどう思うか聞く。そんなに長い時間を割くことはできないからせいぜい3〜5人程度である。

 いったい、あれは何なのか、と思う。

 もちろん、民主主義ではない。ただの感想であって、投票ではないのだから。まあ、民主主義的「ムード」の演出ではあるかもしれないが。

 判断の難しい問題に接すると、人の意見を参考にしたくなる、というのはある。しかし、しょせんはお互い素人であって、3人集まれば文殊の知恵とはなかなかいかず、どちらかというと馬鹿の考え休みに似たりかもしれない。失礼か。

 ズバッと言うと、あれはニュース番組側の都合であって、単調にならないようにニュースショーとしてリズムをつけるとか、時間を稼ぐとか、そういう役目なのだろう。見る側の役にはほとんど立たない。

 ニュースというのは本来、どこそこでいつ何があって、理由はこうだ、とだけ伝えればよいのだが、それだけでは物足りない人が多いので、ニュース番組側はついいろいろと感情に訴える演出をつけてしまうのだろう。

 おれはニュースサイトを割によく見るが、ブルームバーグBBCニュースなんかは取材内容が簡潔に述べられていて、わかりやすい。

 日本のニュース番組は情に訴えるところが多くて、邪魔くさいなー、と思うことがある。いらないと言えば、コメンテーターというのもいらない(専門分野の解説者は別)。コメンテーターって、「コメントをする人」という意味だけれども、あらためて考えると、そりゃなんだ?