国の面積

 今、南アフリカの元大統領でノーベル平和賞受賞者、ネルソン・マンデラの自伝「自由への長い道」を読んでいる。上下二巻あって、読むのもなかなか長い道である。

 考えれば当たり前だが、読んでいて、おれは南アフリカという国についてなーんも知らんなー、と思った。知っていたことと言えば、アフリカの最南端の国であること、アパルトヘイトと呼ばれる人種差別的法律/政策が世界の国のなかでも随分後まで続いたこと(1990年代まで)、金やダイヤモンドが獲れること、あとは映画の「インヴィクタス」で描かれたラグビー・ワールドカップ1995で優勝した南アフリカ代表のことくらいか。

 首都がプレトリア(正しくは行政府。立法府ケープタウンに置かれる)であることすら知らなかった。ケープタウンはアフリカ最南端の希望峰近くの港湾だから、何となく位置はわかっていたが、南アフリカ最大の都市、ヨハネスバーグの位置も知らなかった。ヨハネスバーグは南アフリカの北東にあり、ケープタウンは南西だから、南アフリカのほとんど対極にある。プレトリアヨハネスバーグの北55kmだそうだ。

 ヨハネスバーグとケープタウンの間の直線距離は約1,300km。北海道の札幌から愛媛県の松山くらいまである。マンデラはもともとヨハネスバーグを活動の拠点にしていて、有罪となってからはケープタウン近くのロベン島に(30年の受刑者生活のうち)18年収容されていた。

 南アフリカは日本のような長っぽそい島国ではなく、面積はでかい。

 日本の陸地面積38万km2に対し、南アフリカ122万km2である。

 それでもアフリカの中ではごく一部に過ぎないのだから、いやはら恐れ入る。

南アフリカの位置

 では、日本が小さいのかというとそういうわけでもなく、日本の陸地面積は世界で第61位(南アフリカは24位)。よく「この小さな国、日本は〜」などという類の言い方がされるが、世界的には別に小さくはない。62位はドイツで、69位にポーランド、71位にイタリアがいる。

 世界最大の国は言わずとしれたロシアで約1,700万km2と群を抜いている。その次がカナダ、アメリカ合衆国中華人民共和国で1,000万km2近くである。カナダのほうがアメリカより大きいというのはちょっと意外だった。

 もちろん、大きければよい、小さいのはよくないというわけではない。大なることを誇るのは己の器の小ささをばらすようなものである。

 ただ、昔のように歩くか、せいぜい馬で移動していた時代のことを考えると、大きな国についてはちょっと気が遠くなるような気もする。

 

自由への長い道(上) ネルソン・マンデラ自伝
 

 

 

自由への長い道(下) ネルソン・マンデラ自伝