「隣の空き地に囲いができたってね」
「へえ」
という有名な小咄がある。
もっとも、面白いから有名というより、小咄とはこういうものですヨ、という、わかりやすい例として有名なのだろう。
やたらと聞かされるものだから、そうは笑えない。
松尾芭蕉の「古池や蛙飛び込む水の音」を、聞き飽きていてなかなか新鮮な気持ちで味わえないのと似ている。
「隣の空き地に」に類する小咄はいろいろあって、例えば、
「坊さんが通るよ」
「そう」
なんてのはあっさりしていて、わたしは好きだ。
「猿股が破けちゃった」
「またかい?」
となると、少し手が込んでくる。
こういうのは、ひとつひとつはくだらないけれども、続けているうちにだんだん可笑しくなってくる。たぶん、脳味噌がマヒして、パーになっていくんだろう。
作ろうと思えばいくらも作れて、
「魚屋がゴミ捨ててるよ」
「あら」
というのはどうだろう。
「餅つくか」
「ウス」
とかね。
「いっせいに、放てー!」
「やっ!」
なんてさ。
「お。釣れた、釣れた。釣れたぞー!」
「うおー!」
「さ、鮫だっ!」
「ぎょ!」
二段構えにしてみました。
「僧兵が攻めてくるそうだ」
「ひえー!」
というのは、多少の日本史の知識がいる。説明はしない。
なお、今日の文章にオチはない。
「だって、思いつかなかったんだもの。しょうがないよ」
「おちいね」
ちょっと反省してます。
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「今日の嘘八百」
嘘四百八十二 資本論を読んだことのある人の統計を取ると、84%が途中で挫折し、14%が読了したものの理解できず、2%が内容を誤解していた。