うちのまわりには随分とカラスがいる。
そりゃまあそうで、東京を中心とした半径4、50kmの地域にこれだけ人が密集して住み、ゴミを出しているのだ。カラスが増える、集まるのは当然である。
一方、わたしが住んでいるのは割に緑のある土地で、スズメなどの小鳥(スズメ以外の名を知らない)も多い。
部屋の外はマンション共通の小さな庭になっていて、よく小鳥が遊んでいる。ぼんやり見ていると、なかなかよいものだ。
不思議なのは、これだけカラスやスズメがいて、死体をめったに見かけないことだ。あるいは、ハトのそれも。
いや、全然見かけないというわけではないが、数の多さに対して、見かける機会はとても少ない。
どういうことだろうか。
天敵といっても猫ぐらいだろうし、その猫だってそうやたらとスズメを追いかけているわけではない。カラスには天敵らしい天敵がいない。
象の墓場みたいな、カラスの墓場、スズメの墓場があって、死期を悟るとそこに行くのだろうか。あまり聞いたことのない話である。
実は我々が知らないだけで、カラスやスズメは異常な長命だったりして。元禄あたりから生きていて、吉良邸で忠臣蔵の討ち入りを目撃したスズメとか。
いや、たぶん、家の前で死んでいたら、そこの家の人が不気味だからチリトリか何かで片づけているんだろうが。
こんな話を思いついた。
カラスやスズメは、事故死は別として、夜、死ぬのである。
夜、ぽとりと地面に落ちると、そこにヨロリという怪がやってきて、死骸を食う。
ヨロリは夜しか行動せず、用心深いうえに物音を立てない。だから、めったに気づかれないが、人間が見かけると呪いをかける。
人の気が狂うというのは、ヨロリに呪いをかけられているのである。
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「今日の嘘八百」
嘘四百七十三 日本青年会議所で、最後の青年だった男が、昨日、とうとう中年になったそうだ。