よしを

 つと思い立って、書をやってみることにした。
 といっても、パソコンで書くインチキ書道である。


 まずこういうのを書いてみた。





 スタイルの元ネタは相田みつをである。


相田みつを美術館


 といっても、わたしは相田みつををよく知らない。


 むしろ、和食の創作料理の店(わざわざ創作せんでも、と思うのだが)なんかで見かけるヘゴヘゴした書、略して「ヘゴ書」全般がモデル、と言ったほうがいいかもしれない。


 ヘゴ書の特徴のひとつは、独り言だか感慨だか語りかけているんだか、よくわからない言葉遣いをすることだ。





 この種のあいまいな“やさしさ”を用いて、純真な人達のふところにスッと入り込む、というのが手なのではないか。


 ま、しかし、いつも“やさしさ”(書いてて痒くなってきた)ばかりでは飽きられる。たまには強いことを言うのもいい。





 この作品では、微妙な怖さを表現してみました。


 次の書のように、大したことを言ってないのに感動を呼ぶのも、ヘゴ書の特徴である。





 ここまでに出てきたフレーズは、いずれもわたしが今まで書いたことのあるものだ。しかし、書にすると言葉に新たなインパクトがもたらされる。


 修行と工夫を重ねて、書という表現方法ならではの力を築き上げてきた先人達の努力は、今、ここに、実にくだらない形で結実した。


 最後はこれ。我ながら、力強い作品になった。




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「今日の嘘八百」


嘘四百十六 私は天才書家だが文盲である。