ちょっとした工夫で人生は楽しくなる(のか)

 家では18インチの液晶テレビを使っている。


 メーカーは大画面のテレビを売ろうと躍起のようだけれども、とりあえず18インチで困ることはない。


 唯一、あるとすれば、映画の合戦シーンを見るときだ。


 よくあるでしょう。古代ローマだの日本の戦国時代だのの映画で、大平原の合戦を俯瞰で撮るやつ。


 一瞬の静止の後、両軍、わーっと攻めかかって、ぶつかり合い、血湧き肉躍る戦いが眼前に繰り広げられる――はずなのだが、18インチのテレビだと、クロアリ対アカアリの争いにしか見えないところが悲しい。
 映画館で見たら、最大の見せ場なんだろうけれども。


 ところが、先日、意外なことで、このクロアリ問題が解決した。


 実業団ハンドボールの試合を見に行って、どうせだからとアリーナ席を奮発した。
 すると、ノベルティなのだろうか、プラスチック製のオペラグラスをくれた。


 チケット代が2,500円だから、オペラグラスも大した値段ではないのだろう。しかし、案外、よく見える。


 で、このオペラグラスで18インチのテレビを見ると、「おお」。ちゃんと36インチくらいに見えるのだ。


 映画を見てみたら、合戦シーンも、なかなかの迫力である。
「お。あんなところで腹に槍を突き立てとるわい。おお。ここでも。あそこでも。おおおお。あっちじゃ、首を刎ねた。ウハハハハ」と、大喜びした。


 ま、ハタから見ると、テレビをオペラグラスで見ているヤツって、バカみたいだが。というか、まんまバカか。


 難点があるとしたら、オペラグラスで見ている、ということ自体が楽しくなってしまって、映画を楽しまなくなることだ。


 ま、オモロいから、いいんだけどね。

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嘘三百八十八 詐欺師とカモがいなければ、人類はお金を発明できなかったろう。


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