バラエティ番組などで、出演者の言葉をテロップで大げさに見せる手法がある。
一文字ずつ出たり、沈黙を「……。」で埋めたり、ボインボインと文字が跳ねたりする。
立川談志が怒るような呆れるような口調で、こんなことを言っていて、笑った。
「テレビでもって、字が出るの、どういうこと、あれ? ジェットコースター乗ってて『きゃ〜!』なんて」
確かに、ジェットコースターで『きゃ〜!』のテロップもないもんだ。
あれらは、もちろん、言葉を聞き取りやすいように、とか、聴覚障害の人のために、というわけではない。
出演者の言葉の一部の、面白げなところだけを切り出して、強調している。
あの手法を嫌いだと言ったり書いたりする人は多いけれど、「いい」、「好きだ」、「いっそ、皇室アルバムでもやってくれ」と言う人はいない。
嫌う意見しかないのなら番組制作側は引っ込めそうなものだが、なくなる気配はない。
たぶん、多くの人は違和感なく受け止めている、あるいは刺激を受けて快感を覚えている。しかし、わざわざ言うほどのことでもない、ということなのだろう。
サイレント・マジョリティは、気にしていないか、受け身の形で楽しんでいるのだと思う。