昔々、いつだったか、この日記で踏術なるものを提唱したことがある。
ずばり、相手を、
・踏む
という一点に集中する格闘技だ。
現代において普及している格闘技は、道具を使わないものに限れば、おおよそ、殴る、蹴る、投げる、締める、捻る、張る、コカす、寄り切る、で基本的な攻撃手段をカバーできる。
なぜ、この中に「踏む」がないのか、不思議に思ったところから出発したのが踏術だ。
踏術では相手の足を「踏む」ことだけを狙う。選手同士の素早い足さばきと駆け引き、そしてまるでダンスを見るような華麗な戦いが期待できる。
本日、わたしはここに新しい格闘技を提案したい。それは、
・ツネる
を基礎技術にする格闘技で、名称は仮に「ツネ術」としておこうか。
ルールは簡単で、パンツ一丁の選手が向き合い、お互いにツネツネするのである。相手のツネりから逃げながら、いかにうまくツネるかの勝負だ。
急所以外であれば、どこをツネってもよい。ただ、一番迫力のあるシーンは、やはり、頬をツネったときであろう。
試合の流れによっては、お互い、相手の頬をツネったまま一歩も退かない、という根性の入った光景も期待できる。
勝敗を何で決めるかについては、いささか迷っているのだが、やはり、「先に泣いたほうが負け」というのが順当なように思う。
もっと恐るべき格闘技も考えた。
・噛む
ことを競うものだ。他の攻撃手段は一切許されない。
しかし、これ、何となく選手の人間性が失われそうな気がして、提案していいものかどうか迷っている。
選手は噛みつくタイミングを計りながら、なぜか「グルルルル」とか、言い出しそうだ。
野犬のケンカみたいになってしまうかもしれない。負けたほうはキャンキャン言いながら走って逃げたり。
普通の人を囚人役と看守役に分ける実験をしたら、数日で虐待行為が始まった、という話を思い出す。
生身の人間の攻撃手段は他にもあって、
・つかみ合う
・引っかく
・髪をつかんで振り回す
などが考えられるが、ヒステリー女のケンカみたいで、あまり近づかないほうがよい、と、私の中の防衛本能が警告しているのである。
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「今日の嘘八百」
嘘百二十三 テロ厳戒態勢の空港で、小槌を持った大黒様が逮捕され、留置所で毘沙門天に会った。布袋様は旅客機の扉から機内に入れなかった。恵比寿様はスマトラ沖地震で津波にさらわれた。弁天様はイスラム諸国で「エロすぎる」と非難を浴びた。福禄寿はアメリカでセックス・シンボルになった。寿老人は、寿老人は、寿老人は……とりあえず長生きしてます。