「ベタ」という言葉がいつ頃から使われるようになったのかは知らないが、一般人も使うようになったのは比較的最近のことではないか。
元々は左官職人の間で「ベタ塗り」、つまり、誰でもできる簡単なこと、という意味で使っていたらしい。
それがいつの間にか、芸人用語となり、テレビでのお笑いの隆盛とともに、一般にも広まったのだと思う。
日本を指すバンドマン用語の「ポンニチ」が、今では違和感なく日常会話で使われているのと同じであろう(ンなことはない)。
わたしは、くっついただけで言葉や文章をダメ化してしまうバイ菌言葉というのが好きで、そういうものを見つけると、ウレしくなる。
「ベタ」もバイ菌言葉のひとつだ。ああ、ウレしや、楽しや。
そのバイ菌ぶりをお目にかけよう。
金曜の夕刊には、土日をあてこんで、映画の広告がたくさん出る。
例によって、全米が泣いたり、日本中が待っていたり、ナンタラカンタラ第一位だったり、おすぎさん相変わらず儲けてんなあ、だったりするのだが、「ベタ」バイ菌をばらまいてみる。
まずは、「第58回カンヌ国際映画祭最優秀男優賞/最優秀脚本賞受賞」と謳っている、「メルキアデス・エストラーダの3度の埋葬」。監督・主演はトミー・リー・ジョーンズだそうだ。
“人は変わる” 残酷なまでに優しいラスト 予想のつかない衝撃の感動!
親友の死体と殺人犯との旅
彼らがたどり着く衝撃のベタな真実とは……
困るよねえ。
なぜと訊かれても、よくわからぬけれども。
カンヌのお次は、アカデミー賞。美しいロッキーの山々を背景に、男ふたりが落とした50円玉を探すポスターも印象的な「ブロークバック・マウンテン」。
映画史上、最も心揺さぶられる愛の物語。
このベタな感動は揺るがない。
ジェット・リーと中村獅童が共演するという、凄いことなんだか、そうでもないんだか、よくわからないカンフー映画が公開されるらしい。
タイトルは「スピリット」。「史上初の“泣ける”格闘技映画、誕生」だそうだ。
感動の実話、劇場公開。
SPIRIT スピリット
明日
そのベタな戦いに泣く。
払った映画チケット代がもったいなくて泣くのかね。
最後はテレビドラマで締めましょうか。
ミコは一生を生きた。
マコは一生を生きる。
日本中が涙した感動の実話。42年の時を経て、昭和の純愛物語が、いま蘇る。
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「今日の嘘八百」
嘘八十五 出っ歯の亀太郎さんと助兵衛さんの漫遊記を書いている。