今、太鼓持ちはほとんどいないらしい。
では、太鼓持ち的な才能を持った人が、あたらその才を無駄にしているかというと、そんなことはない。
世の中、うまくしたもので、そういう人々は今や企業の営業部門にいるのだそうだ。
まだバブルの頃だが、友達の勤めている企業に「営業四課」という有名な部署があったという。
その頃はまだフレックス制が普及する前で、その会社も定時出社が義務だった。
しかし、その営業四課だけは遅い出勤が黙認されていた。
営業四課の本当の仕事は、退社時間の後に始まる。
特定の得意先は持たない。その代わり、他の営業部門から応援要請がかかると、出動する。
出動する先は、もっぱら、バーやクラブ。実は営業四課は、全員がさまざまな芸を持った猛者達で、わーっと場を盛り上げて、得意先を接待したのだという。
相手がノッて、「もう一軒行こう、もう一軒!」と言えば、どこまでも。二時でも、三時でもつきあい、とっかえひっかえ芸をお目にかけ、得意先が上機嫌になったところで商談をまとめてしまうのだそうだ。
つまりは、企業内太鼓持ち軍団。いいなあ、一度、接待されてみたい。
もっとも、その後の不景気による部署の統廃合で、営業四課はあえなく解体。
今では、「伝説の営業四課」として人々の記憶に残っているだけだそうだけれども、本当かなあ。