杉浦日奈子の昔の漫画を読んでいたら、こんな川柳が出てきて、思わず笑ってしまった。
二階から落ちる最期のにぎやかさ
「最期」である。ドタドタ、ガラガッチャン、と賑やかなのである。
誰がつくったか知らないが、すごいところを突いてくるものである。
死をどんなふうに扱った川柳があるだろう、と、ネットで探してみたら、こんなのが出てきた。
通夜の席子連れの美人が気にかかる
遺産分け割り算ばかり上手くなり
死というのはもちろん、人間にとって最大の一大事(変な言い方だが)なんだが、川柳子にかかると、かくのごとし。人生は近づいて見れば悲劇だが、引いて見れば喜劇、という説も思い出す。
ふたつめの「遺産分け割り算ばかり上手くなり」もなかなかよいが、やはり最高の句はこれだろう。
泣く泣くも良い方をとる形見分け
すさまじいというか、なんというか。死も欲も業も悲しみも、全てが封じ込められた川柳だと思う。