右翼の謎

 会社の近くにロシア大使館があり、この時期になると、右翼の街宣車がよく押しかけてくる。

 大使館近くの交差点には警察が移動式の柵を設けていて、街宣車が来ると交差点を閉鎖する。警察と右翼の間で多少の交渉というか、押し問答をした後、街宣車は去っていく。だいたいいつもこのパターンである。

 街宣車の主張はいつも同じで、「北方領土返せ!」「出てけ!」である。ものすごい音量のスピーカーで、ガンガン来る。

 で、これが不思議なんだが、主張が日本語なのである。相手に伝えたいならロシア語にするべきだと思うんだが。

 まあ、敵国(なのだろう)の言葉なんぞ使いたくない、沽券に関わる、ということなんだろうが、しかし伝わらないことには主張の意味がない。実際のところはロシア大使館に伝えるというよりは、まわりの日本の人々に主張したい、というところなのかもしれない。

 他にも不思議なことがあって、軍歌を流しながら突っ込んでくる街宣車も多い。戦後七十七年にもなるのに、今でも軍歌だ。突撃ラッパを鳴らす街宣車もいる。

 右翼方面の人の感性は独特で、なかなかに興味深い。