ニュースは見出しで変わる

 先週、コロナのワクチンによるアナフィラキシー(重いアレルギー症状)についてのニュースについて書いた。「ワクチン接種でアナフィラキシー 新たに12人」などとニュースの見出しが出ているけれど、18万741人がワクチン接種を受けてアナフィラキシーと認められたのは37人で、およそ4900人に1人の割合。確率にして0.0205%。ものすごく低い数字、という話だ。1年間で交通事故で死傷する確率のほうが15倍くらい高い(なお、アナフィラキシーの数字は10日ほど前のもの)。

 この手の見出しで怖い、不安を覚える、となるのは、見出しの付け方のせいもある。

「ワクチン接種でアナフィラキシー 新たに12人」

 ワクチン接種して大丈夫だろうか、と思う。しかし、こう書いたらどうか。

「ワクチン接種でアナフィラキシー 4900人に1人」

 ニュースの内容は同じだが、力点を置くところが違うと印象も変わる。

 もっとも、「4900人に1人」も、多少は不安に思わせる。「1人」がもし自分だったら、と思ってしまうからである。宝くじに当たると夢想するのと同じ原理である。

 こうしたらどうか。

 「ワクチン接種でアナフィラキシー 4900人中4899人は大丈夫」

  もっとも、こんな見出しをつけるニュースメディアはほとんどないだろう。安心させっるより、不安を覚えさせるほうが読んでくれる可能性ははるかに高いからだ。「あなたの口の臭いは気にならない」より「あなたの口は臭いかも」のほうが広告は効く。