深海魚

 深海の奇怪な生物達を集めたムービー(音が出るのでご注意)。


Strangest Sea Creatures


 どれも邪悪に見える。まあ、特にそういう生物を集めたムービーなのだろうが。


 途中でイカが出てくるが、ダイオウイカだろうか。


 わたしはイカが好きで、水族館で半透明の体をゆらゆらさせているところなんぞ見ると、ぼうっと見とれてしまう。優雅な生き物だ。
 しかし、ダイオウイカはいただけない。大きいもので6mから20mにもなるというが、全体にスタイルが雑で醜い。おそらく、恥を知らぬのであろう。


 不思議なもので、なぜ、深海魚は邪悪に見えるのだろうか。
 牙が鋭いせいもあるだろうが、それなら虎やライオン、猪、セイウチだって邪悪に見えるはずだ。しかし、虎なんて、神聖さすら感じさせる。


 こんなのもあった。



 やはり邪悪である。
 深海魚は、牙が怖いだけでなく、悪魔的な雰囲気を漂わせている。


 逆に考えると、深海魚が邪悪なわけではなくて、人間の持つ邪悪のイメージが深海魚から来ているんじゃないか。


 深海に住む魚なんて、昔はそう目にしなかったろう。たまたま死んで岸に流れ着いた深海魚の、普段は目にしない奇怪な姿に人間が驚いて、「なんとまあ、これは」とビビった。
 その印象が絵や物語に流れ込んで、人間にとっての邪悪、悪魔的イメージになった――というのはまあ、例によって、何の根拠もない霊感である。


 深海魚に比べると、熱帯魚――といっても、主に珊瑚礁などの浅いところに住むやつらのことだが――なんていうのはずいぶんと優雅に見える。


 暖かい、餌が豊富、と、生育条件がいいと、あくせくしなくなるのだろうか。
 熱帯魚にだって食うの食われるのはあるが、その競争にしたってのんきに見える。


 全体に、ゆるい、のである。


 熱帯魚の色鮮やかさも不思議だ。
 何なのだろう。どこかの時点で目立ちたがり合戦でも始まったのだろうか。


 北の魚はああはならない。ホッケが蛍光ブルーに黄色いラインが入っているとか、ニシンが赤とホワイトのツートンカラーで泳いでいる、なんていうのは、何となく困る。
 やはり、北の魚には冷たく厳しい環境の中で地味にガンバっていてほしい、と思う。

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「今日の嘘八百」


嘘五百七十八 日の出の勢いに本当に勢いがあるのか、学会でちょとした論争が起きているという。