体温というのは不思議で、だいたい、どの人も同じくらいのようである。
それのどこが不思議なんだ、と思うかもしれないが、あの人もこの人も、だいたい平熱は36度台。低めの人でも、35度台、高めの人でも、37度台前半だろう。
きちんと調べたわけではないが、世界中、これだけ人間が広がっていて、皮膚の色も、顔かたちの特徴もいろいろなのに、体温はほぼ同じだろう。
これを不思議と言わずして、何を不思議と言おうか――って、もっと不思議なことはいろいろあるけど。
人間は、平熱から1度も上がれば、「あれ?」となる。4度も上がると、フラフラのヘナヘナとなって、幻覚を見てしまう。
体温近辺の温度への敏感さもなかなかのもので、例えば、40度の風呂に入るとぬるく感じるし、42度に入ると、うー、アチチ、うー、などと唸ってしまう。
その差、たった2度。地球の中心温度は6,000度なのに。関係ないか。
70度と72度のお湯の温度差、10度と12度の水の温度差を感知できる人はなかなかいないだろう。
体温近辺の感度に関しては、人間というのは相当、繊細にできているらしい。
わたしなんぞ、よほど繊細にできているから、気温が13度を切ると決まって風邪を引くし、28度より上がると、へばって、イグアナと化してしまう。35度を超えると、ああっ、とひと声残して倒れてしまい、5度を下回ると、穴に潜って体を丸くし、春まで休眠状態に入ってしまう。
20度〜24度くらいの範囲でしか生きられない。飼育の極端に難しい熱帯魚みたいなものであります。
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「今日の嘘八百」
嘘七百四十五 わたしをワシントン条約で保護していただきたい。