五感というのは、視覚、聴覚、触覚、味覚、嗅覚のことで、その他に第六感というものがあるという話も聞くが、わたしにはよくわからない。
みなさんは、このそれぞれの感覚を頭の中で思い出したり、思い浮かべたりできるだろうか。
視覚はたいていの人ができるだろう。聴覚もまた。
後の3つはなかなか難しい。
わたしの場合、触覚、味覚、嗅覚とも、一応はできる。
ただ、頭の中で、ではなくて、例えば、触覚ならスポンジをなぜた感覚を指先で、味覚ならカレーライスの味を舌で、嗅覚なら草のにおいを鼻で、だ。
頭の中でそれらを思い浮かべようとすると、脳味噌がイーッ、となる。
味覚、嗅覚はかろうじてできる気もするが、舌先、鼻先で想像するより、はるかにぼんやりしたものだ。触覚は頭の中で再現できない。
ここらへんの個人差、ちょっと興味がある。
現代人は視覚、聴覚にかなり頼っている、と言う人もいる。
昔の人がどうだったか知らないから、わたしには判断がつかないが、頭の中で思い浮かべやすい、という点では、視覚、聴覚が後の3つよりも上を行っているとは思う（そのことのいい悪いは別よ）。
視覚の面白いところは、抽象的なことも、具体的なイメージとして想像できるところだ。
例えば、「成功」ならガッツポーズしている姿とか、札束を撒き散らしてウヒウヒしている姿とか（こういうことを書くと、人間としてのしょうもなさがバレるね、しかし）、そういうイメージに置き換えることができる。
「成功」を聴覚で想像してみろ、と言われるとなかなか難しい。わたしの場合は、せいぜい拍手と指笛の音を思い浮かべるくらいだ。
それだけ、視覚にたよっているということなのだろう。
触覚、味覚、嗅覚で「成功」を想像するのは、指先、舌先、鼻先でも無理である。「成功」のにおいって、どんなんだ。
生まれつき目の見えない人は、「成功」を具体的なものとして、どういうふうに想像するのだろう。
興味が湧くが、身近にそういう人がいないので、わからない。
