天の邪鬼

 時折、「立川談志 STREAM CONTENTS」を見て、楽しんでいる。


立川談志 STREAM CONTENTS


 談志が短いムービーで事件や流行、世相について語る、というもの。


 日本で唯一言論の自由を手にしている人だ。誰に遠慮があるじゃなし、言いたい放題である。話芸と頭の回転の速さで、聞いていて飽きることがない。


 言うまでもなく(なら言うな、と言うなかれ)、談志は天の邪鬼だ。


 天の邪鬼は、物事を裏からも横からも斜めからも見ようとする。
 力量のない天の邪鬼はただのひねくれ者だが(アイタタ。自分で自分を突きました)、力量のある天の邪鬼はしばしば、正面から見ているだけではわからない、コトの本質、みたいなものを捉える(こともある)。


 例えば、「その364」でこんな話をしている。
 暗いニュースが多いっていうけれども、明るいことがニュースになってしまうような世の中よりはいいってことだ――。


「本年度の十大ニュースのトップ。まだ日本にも親孝行の青年が5人いたんです――こんなのがニュースになったら、どうにもなんないでしょ」


 何で聞いたのかは忘れたが、援助交際が問題になった頃にはこんなことを言っていた。
「あれは、女子高生が売春していると考えるからいけない。売春婦が毎日、高校に通っている、と考えればいい」


 まあ、コトの本質かどうかはわからないが、なるほど、そう考えてみれば、殊勝な心がけである。