乾燥ワカメの利用法・続

 あと、爆弾への利用というのもある。
 これまた物騒な話だが、わたしはヒューマニズムの立場からこれを書いている。


 よく知らないが、爆弾というのは、爆発的に反応を起こすから、爆弾なのだろう。それから、人を殺傷するので、嫌われるのだろう。


 ワカメ爆弾の構造は簡単である。
 大量の乾燥ワカメの入った箱と、水の入った箱をつないで、間に弁を設ける。タイマーでこの弁が開くようにする。


 時間が来ると、水が乾燥ワカメのほうに流れ込む。ワカメが、もわもわもわっ、と爆発的な勢いで膨張する。


 これは凄いよ。
 凄いけど、何に使えばいいのか、わからない。あたしゃあ悪人じゃないからね、どうもそこんところが問題だ。
 が、まあ、とりあえず人が死なないし、第一、体にいい。


 もっと世間様の役に立つ使い方はないか、考えた。出てきた。


 土嚢、である。


 雨で川が増水して、洪水になりそうなとき、土手に土嚢を積む。たいてい、人海戦術だ。
 あれは重労働だし、時間との戦いなのだが、手間がかかる。


 そこで、乾燥ワカメの登場だ。


 水の浸透する袋に乾燥ワカメを入れておく。人が運べるくらいの袋をまとめて、防水シートにくるんでおく。乾燥ワカメ自体は軽いから、結構な量をまとめられるだろう。


 増水が起きたら、防水シートごと、土手に運ぶ。最後に防水シートを外す。
 雨が袋の中に染み込むので、ワカメがもわもわ膨れあがるだろう。あっという間に土嚢の山ができあがるはずだ。


 注意すべき点は、乾燥ワカメの量を間違えないこと。
 少なすぎたら土嚢の役目を果たさないし、多すぎて袋を破るようでは大変だ。大水とともに、大量のワカメが町を襲う!


 そこらにさえ気を付ければ、なかなか実用的だと思うのだが、どうだろう。
 水が引いたら食えばいいしね。第一、体にいい。


 特許だの知的財産だのとうるさいことは言わないから、誰かやってみてくれないだろうか。
 うまくいったら、お礼は気持ちだけで結構。
 ただし、乾燥ワカメ、現物でお礼、なんてのはやめてね。目の前で増やされても困ります。

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「今日の嘘八百」


嘘三百二十二 ゼウスは全能の神だが、能力の使い方が全くわからなかったのだという。


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