松尾芭蕉の有名な句に、
古池や蛙飛びこむ水の音
というのがある。
あまりに有名で、引っ張り出されすぎるので、少なくともわたしは句として素直に味わうことができなくなっている。
「ああ、アレね」というのが先に立つのだ。
あるいは、「記号化」っつーのはそういうことなのかもしらん。句本来の味わいだの何だのが、「例のアレ」であることにケ飛ばされ、すっ飛んでしまうのだ。
これが、例えば、
古池や蛙飛びこむ人助け
なんていうのだったら、新鮮に驚ける。
まあ、助けられるかどうかは甚だ疑問だが、少なくとも蛙の勇気は買ってやろうじゃないか、という気にはなる。