大層なタイトルをつけたけれども、わたしが書くのだから、大した話にはならない。請け合っておく。
先日、よく一緒に仕事をするAさんと昼飯を食いながら、「今の日本画」という話になった。
Aさんは今を去ること、二十ウン年前、美大で油絵を学んでいた。その後、デザインのほうへ転身した。
油絵で食っていくのは、相当、難しいのだそうだ。
学校の美術の先生や美大予備校の講師になる、というのは、まあ、ある。後は大学に残るか(たぶん、枠は非常に少ない)、親がかりになるくらいしかない。
それはそうで、日本で、有名画家のものならともかく、無名の新人画家の油絵を買う人は少ないだろう。
供給(油絵で食っていきたい人)に対して、需要(油絵を買いたい人)が足りないのだ。たぶん、絶望的なほどに。
今の日本画の人達も食っていくのは難しいだろう。
日本画は、独立した絵のものもあるけれど、屏風や襖などの調度品に描くものも多い。
しかし、自分の家の屏風や襖に絵を描かせる、という人は、今、ほとんどいないはずだ。
そもそも、屏風を使う暮らしをしている人が少ない。
襖は今でも使われるが、たいがい、絵模様の類は印刷してある。
わたしがこれを書いている部屋は和室で、襖がある。
今、襖を眺めながら想像しているのだが、パソコンだの、本棚だの、テレビだの、その他もろもろで散らかっている部屋の襖に、松だの、花鳥図だの描かれてもしっくり来ない。
子供のイタズラ書きのほうが似合いそうである。
今の日本の生活空間に、日本画は合わない、ということだと思う。