未来の古語

 文明がいったん破壊されて三千年後か、徒然なるままにひぐらし時間が経ってしまって歴史のアルツハイマー現象が起きてからかわからないけれども、後の世の人が現代の文章を発掘したら、一番多く目にするのは、インターネット上の文章ではないか(パソコンのデータを復元できたとして)。


 それでもって、「おお。当時の生活を知る貴重な資料だ」と学者の大喜びする文章が、


きのうわミータン、筋肉ミュージカルにいってきまひたー (^▽^)v


 だったりするのだ。
 もしわたしが成仏できずにその時代までさまよっていたら、頭が痛くなりそうだ。幽霊の頭痛というのも困ったものである。


 まあ、何しろ、向こうさんは、手持ちの資料で判断するしかない。
 現代社会や現代人の性向について、誤りとは言わないまでも、かなり歪んだクローズアップがなされる可能性はある。


 古語辞典が編纂されるとどうなるのだろうか。


ありアリ【有り】ありがたく感じること。


おめオメおめでたく感じること。


カキコ【書き込】記入する。〔ホメホメ日記〕「みんなが集まる楽しいページにしたいので、いろいろ――してくださいね☆」


キタ━━━━(゚∀゚)━━━━ !!!!!【来た】来たこと。来て嬉しいこと。


 などとなるのか。


 現代に生きている人間からすると奇怪な解釈がされそうな気もする。
「当時の人々の生活は黒魔術の強い影響下にあったと見られ、数多くの資料において『死ねばいいのに』という呪術的表現が散見される」なんていうふうに。


 しかし、現代人だって、どのくらい正確に昔の人々の生活や社会をわかっているかというと、まあ、たいがいが、ご先祖様、シィマセンである。


 例えば、平安時代の人々の生活というと、多くの人が、絵巻物に描かれているような貴族のそれを思い浮かべるのではなかろうか。


 貴族なんて、全体のうちのほんの一部だったろうに。
 別にみんながみんな細目のシモブクレで、サカっては歌ばかり詠んでいたわけでもなかろうに。


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「今日の嘘八百」


嘘百四十一 JTで、会議が全社禁煙になった。