「猿の惑星」をモデルに、こんなSFのストーリーを思いついた。
宇宙探査を終えた宇宙船が地球に帰還した。
冷凍冬眠から醒めた主人公(チャールトン・ヘストン)達が外に出てみると、様子がおかしい。
白黒黄色と皮膚の色がさまざまな人々がいる。
建物のデザインからするとどうやらアメリカらしいのだが、彼らが話している言語は聞いたことがないものだ。ドーモ、ドーモという言葉がよく聞こえる。
「Domoって何だ?」、「さあ?」と隊員達が英語で会話しているうちに、網にかかってしまった。
住民達に連行される途中、町並みを見ると、やはりアメリカの、どうやらニューヨークらしい。
しかし、あちこちにネオンと看板がはびこり、やたらと画数が多くて角張った文字と画数が少なくて丸っこい文字が混在している。
彼らを捕まえた人々は得意げで、彼らを縛った縄を引きながら、野次馬達に「ドーモ、ヤ、ドーモ。ドーモ、ドーモ。ヤ、ドーモ」と照れたように笑いながら手を振っている。
ひときわ立派な建物に連行され、大広間に引っ張られた。
しばらく待っていると、高級そうな軍服を着たひとりの黄色人が、白黒黄色、さまざまな皮膚の色の人々を従えて出てきた。黄色人は眼鏡をかけ、出っ歯だ。
「ヤー、ドーモ、ドーモ!」と手を挙げながら、黄色人がにこやかに近寄ってきた。
甲高い声でいろいろと訊いてくるが、何しろ、言葉がわからない。
「何を言っているか、わからないです」と英語で言うと、黄色人は「ドーモネー……」と首をひねり、横の小柄な白人に困ったように相談している。
小柄な白人ははっと気付いたようにポンと手を叩き、「ドーモ、ナンタラカンタラ」と黄色人に早口で言う。黄色人はうなづき、短い指令を与えた。
しばらく待っていると、黒人の老人が広間に入ってきて、出っ歯の黄色人に「アー、ドーモ、ドーモ!」とお追従笑いを浮かべながら、挨拶する。
黄色人は「ドーモ」と軽く言って、何事か老人に指示した。
老人は片言で、文法もメチャクチャながら英語を話せた。
主人公達が、宇宙から戻ってみたらこんな目にあって何が何やらわからない、と言うと、老人は非常に驚いた様子で黄色人に通訳した。
黄色人はしばらく考えていたが、小柄な白人に指示を与えた。
主人公達は牢屋に入れられた。
夜、こっそりと黒人の老人が現れた。
主人公が「Domo」と言ってみると、老人はシッと指を口にあてて、小声で「ドーモ、ドーモ」と返事した。
話してみると、今から百年前に日本のアニメが世界を制覇して、世界中で日本語が話されるようになったという。
老人は、言語のサンプルとして英語を引き継いでいるが、代を経るにつれて、拙くなっている。英語だけではなく、サンプルとして残された言語全てがそうだという。
主人公達は脱走した。
走って逃げる途中、仲間はひとりひとり、撃たれて死んだ。
主人公はあてもなく走り続けた。河辺に出た。駆けに駆けた。
目の前に自由の女神が見えた瞬間、疲れ切った主人公は足から崩れるようにして、へたりこんだ。
まわりには、土産物屋が並んでいる。
店の前には自由の女神のちゃちなミニチュアや女神の描かれた扇子、なぜか龍と虎の描かれたペナント、ドーム型のどことなく野暮ったい食べ物などが置いてあった。
黒い詰め襟を着た十代の若者達の集団がやってきた。皮膚の色はさまざまだ。
若い黄色人の女性が率いている。若者達はぺちゃくちゃしゃべっている。
主人公を見つけた先頭の女性が、若者達に何事か指示した。
若者達の集団は立ち止まり、主人公に向かっていっせいに手を挙げて、言った。
「ドーモ!」
映画化権、300円で売るよ。
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「今日の嘘八百」
嘘百二十七 わたしはビフィズス菌のキャリアとして有名である。