もう10年も前だろうか、上海に行ったことがある。
当時の上海は、今ほど栄えてはいないけれども、中国経済の先陣を切って高度成長を続けており、超高層ビルがにょきにょきと生えだしていた頃だった。
そのデザインが日本のものとだいぶ違い、ハデハデしくて、「中国っぽい感覚なのだろうなあ」と思ったものだ。
今、テキトーに画像を検索してみた。
この写真は比較的最近のものだと思う。わたしが行った頃はまだタワーはなく、ビルも建設中のものが多かった。
最近、バブル以来の、金を貸しただの、返ってこないだの、夜逃げしただの、追いかけただの、突き止めただの、内臓を売りなさいだの、目もいけますよだの、お父ちゃんは悪くないだの、きっと迎えに来るからなだの、いいのケンボウが目を覚ます前に行かなきゃだの、が一段落したのか、東京でも、あちこちでにょきにょき超高層ビルが生えている。
そのデザインの多くがハデハデだ。金満、成金、ハリボテ、カキワリ、下品であること、おびただしい。
10年前に感じた「中国っぽい感覚なのだろうなあ」は間違いで、どうやら、上海の感覚が、東京に先んじていたらしい。
奇抜な意匠のハデハデ建築を見ると、わたしは、「うひひひひ。おれが建てたの、おれが」という建築家や施主の湯気立つ臓腑を見せつけられるようで、気色悪くなる。
建築家は、しばしば奇抜な意匠のビルに「都市のランドマーク(道標)として〜」などというリクツを持ち出す。
なに、きゃつらはホントは目立つビルで名を上げたいのだ。都市というより己のランドマークなのである。
今や、東京中、ランドマークだらけだ。都市のランドマークにするというのなら、いっそ一番上にデカデカと、
環七 →
とでもサインを掲げてくれれば、まだ役に立つのだが。
東京は、都市全体がパチンコ屋と化しつつある。夕焼けが美しく見えない建築はいかんですよ。