面倒くさい物語

 ミヒャエル・エンデの「はてしない物語」は、本の中にあるファンタージエンという国が「虚無」に覆われつつあるというお話だ。


 しかし、これはニヒリズムだのなんだの、コムズカしい(=カッコよさげな)言葉を連想させる「虚無」だから格好がつくのであって、「面倒くさい」となると、もうダメだ。


デブでチビの少年バスチアンは、古書店で目にした1冊の本に目を奪われ、たちまちその世界に魅了されてしまう。ファンタージエンという国を舞台にしたその物語では、女王「幼ごころの君」が病に倒れ、何もかも飲み込んでしまう「面倒くさい」が王国を滅ぼそうとしていた。女王の特命を受けた主人公アトレーユは、その危機を救うべく探索の旅に出る。しかし、アトレーユの冒険の中には、読み手であるバスチアン自身の話までもが書かれていた。


 おそらく、「虚無」が「面倒くさい」に変わっても、ストーリーに影響はないだろうが、読者も何となく困るのではないか。


 まあ、しかし、実際、世の中で現在起きているほとんどの問題は、当事者が面倒くさくなってしまえば、解決する。


 イラクで繰り広げられる衝突だって、テロだって、耐震偽装問題だって、フィリピンのゴタゴタだって、靖国問題だって、「面倒くせえ」と全員で簀巻きにして放り出せば、見事に終わるのだ。


 なまじ、やる気に燃えるから、いろいろぶつかったり、怪我したり、死んだりする。


デブでチビの少年バスチアンは、古書店で目にした1冊の本に目を奪われ、たちまちその世界に魅了されてしまう。ファンタージエンという国を舞台にしたその物語では、女王「幼ごころの君」が病に倒れ、何もかも飲み込んでしまう「モチベーション」が王国を滅ぼそうとしていた。女王の特命を受けた主人公アトレーユは、その危機を救うべく面倒くさそうに探索の旅に出る。


 ま、後であれやこれやと別の問題が出てくるのだろうけどもね、それはそんとき、考えましょうや。



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「今日の嘘八百」


嘘七十四 おれ、ホントはやる気あるほうなんよね。