パヴァロッティ、大いに歌う

 声楽についてはパッパラパーで、CDの一枚すら持っていないのだが、パヴァロッティという人が大物だ、ということくらいは知っている。


 いかにも陽気そうな風貌も知っているのだが、肝心の歌については何も知らない、という、バカチンスキーである。


 パヴァロッティは、引退を表明するとき、「もうトイレでも歌わないし、シャワーを浴びるときにも歌わない」と断言したそうだ。


 ということは、それまで、シャワーはともかく、トイレでも歌っていたのか。
 はっきり言って、迷惑である。


 レストランかどこかのトイレに行くと、個室からパヴァロッティの歌が朗々と響いているのだ。
「♪フニックリ、フニックラ、フニックリ、フニックラ〜」


 いやね、パヴァロッティが心から歌を愛している、ということはわかるんだけどね、やっぱり、困る。


 あるいは、シューベルトか何かの陰鬱な歌が続いた後、ポチャン、という音とともに、「♪オ〜・ソ〜レ・ミ〜オ〜」。
 わかりやすい。わかりやすいのだが、やはり、トイレにパヴァロッティは禁物である。


(歌の例が陳腐で申し訳ない。よう知らんのです)