ジェンダーとかなんとか、そっちのほうには、なるべく巻き込まれないようにして生きていたいと思っているのだが、まあ、男と女の違いというのはある。
体のほうは、これはもう、二重らせん方面でそういうふうな決定が下されているんだから、仕方がない。嫌なら、手術を受ければよい。
一方で、男と女に対する扱いの違いというのもあって、善し悪しは置いといて、これまた、人々の圧倒的多数が男と女を別なふうに見ている。
男性中心社会、なんていう言い方がされるけれども、じゃあ、男のほうがいいかというと、これがそう簡単ではないのよね。
あみん(再結成したんだったかな)という女性デュオに「待つわ」という曲があって、確かわたしが高校生くらいのときにヒットした。
「♪わた〜し、待〜つ〜わ。いつ〜まで〜も待〜つ〜わ」という例のアレである。
女性デュオが歌ったからヒットしたけれども、あの歌、もし男性デュオが歌ったらどうなったのだろう。
好きな男性デュオ、あるいは知り合いの男性のカラオケやなんかでもいいので、頭の中で男があの歌を唄っている声を想像してみていただきたい。
♪おれ〜は 待〜つ〜ぞ いつ〜まで〜も 待〜つ〜ぞ
たと〜え お〜まえが ふ〜り向〜いてくれ〜なくて〜も〜
待つ〜ぞ〜(待つ〜ぞ〜) いつ〜まで〜も待〜つ〜ぞ
他〜の誰か〜に お〜まえ〜が ふ〜られ〜る日ま〜で〜
何やらナサケない。
あるいは、いつも通勤に使う駅かなんかに立っていたら、ストーカーである。警察に相談されても仕方がないだろう。個人的には、宅八郎サンにCDを出していただきたいと思っている。
やはり、男と女はいろいろ別なふうに捉えられている、ということだろう。
ま、しかし、男の側からしても、女性に「私、いつまでも待つわ。たとえあなたがふり向いてくれなくても」と言われるのは、ちょっと怖い感じがする。
映画「怪談」の原作になった「真景累ヶ淵」(映画は見ていないが)の豊志賀の霊やなんかに「新吉さん、わた〜し、待〜つ〜わ♪」なんて歌われたら、相当、恐ろしい。歌われなくても、十分恐ろしいか。
思うに、ああいう怪談話というのは、誰しも持っている心残りやわずらわしさの記憶を、デフォルメしてつつくんではないか。
歌も、噺も、人間のイヤなところを、うまい具合に突くもんだと思う。
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「今日の嘘八百」
嘘五百十五 来年は森繁久彌に走らせるらしい。