面白い放送とは

 どの競技でもそうだが、好試合もあれば、凡戦もある。


 見るからに凡戦なのに、アナウンサーがやたらと盛り上げようと声を張り上げる姿を見ると、「この人もツラいのだろうなあ」などと妙な同情をしてしまう。


 フジテレビの、バレーボールを商品として売ろうという努力には、ある意味、涙ぐましいものがある。
 しかし、選手につける安いニックネームは、あまりにダサダサで、辟易してしまう。


 あれは何だろう。テレビ局の企画会議か何かで、「菅山は清楚なイメージだから、“カオル姫”でどうだ」、「うーん、いいんじゃないのー」、「荒木はぶっといから“鉄腕エリカ”」、「ぎゃはははは。ヤマちゃん、それ、いただき」などとやっているのだろうか。
 選手の個性を少しでも親しみやすく、ということなのだろうが、放送局が勝手にニックネームをつけて、それを連呼するのは押しつけがましい。致命的なことに、ネーミングのセンスが悪すぎる。


 いろいろと(ズレた)工夫をしている割には、カメラワークが単純だ。基本的に真横からコート全体を撮り、たまにアップに切換えるだけである。


 たぶん、今の日本女子の攻撃面での基本方針は、パワーは捨て、前線の選手を左右に飛ばし、本来、センターのやるような素早い打ち方やフェイントで相手のブロックを無効にする、ということだと思う。
 真横からのカメラワークでは、その妙味は捉えられない。


 バレーボールの、一番、基本的な凄さ、爽快感は、ズドンと来るスパイクにある。それに左右の揺さぶり、中央のフェイント、ブロックがどうつくか、トスの意外性、という要素がからまる。


 そうした面白さを見せるには、真横からのカメラワーク(選手の左右の動きやブロックのつき方がほとんどわからず、点が入りました取られましたしかわからない)ではなく、後方から捉えるべきだろう。
 後方斜め上から、広角気味のレンズで撮影すれば、スパイクとレシーブの迫力も、作戦の妙味も、もっと伝わるはずだ。


 小津安二郎がバレーボールを撮っているわけじゃないんだからね、ああも真横からまっすぐのアングルにこだわる理由がわからない。


 まあ、安いニックネームつけたり、ジャニーズの子供達が騒ぐのは我慢できる。
 しかし、今、目の前で起きているゲームの面白さを伝える工夫がないのは、大変にいかんことだと思う今日この頃のヨシノリ王子。