間の悪さ

 間の悪さといえば、美人女優姉妹の妹のほうである。
 って、それは真野あずさだ。あざとい。


 一昨日、毛利元就の三本の矢の話で遊んだが、大河ドラマでもやっている源義経で遊ぶとどうなるだろう。


 義経にはいろいろとエピソード、伝説がある。


 五条大橋での弁慶との立ち回りは、おそらく、義経物語、最初の見せ場だろう。
 大なぎなたを振り回す、怪力無双の弁慶。それを、ひらりひらーり、ひらひらりと軽やかな身のこなしでかわす牛若丸。
 剛に対する柔、重に対する軽、というところが受けるのだろう。


 しかし、身のこなしが軽すぎるのも考えものである。リスクは大きい。
 ヤーッと、弁慶が振り回したなぎなたを、牛若丸はひょいとかわして、欄干に――飛んだはいいけど、暗闇のせいでちょっと目算がズレたら、どうなったか。
 わーっ、と言いながら、鴨川に真っ逆さまに落ちていく、牛若丸。呆れる弁慶。
 当然、ふたりは主従にならず、そのとき、特に歴史は動かないのである。


 それから歳月は流れ、義経は源氏の一将として平氏を討つべく、一ノ谷に臨む。
 山側に回って、有名な鵯越(ひよどりごえ)の逆落としを試みるわけだ。
 これは以前にも書いたけれども、しかし、あれ、前を行く騎馬の誰かがコケたら、どうなったのだろう。
 全員、もの凄い勢いで駆け下っているから、当然、後ろの者も巻き込まれる。
 ガラガッチャン、ガッチャン、ヒヒヒーンと、大音響とともに一団になって転がり落ちてくる義経一行。
 裏山のもの凄い音に、何事かと集まる平家の武者達。その目の前で、源氏の奇襲部隊は、うーうー、唸っている。
 まあ、その後は、運がよくて、囚われの身。運が悪ければ、惨殺であろう。
 これまた、そのとき、特に歴史は動かない。


 しかし、義経は逃げた。
 じゃないと、この後のネタを書けないから。


 平家が滅亡する最後の戦い、壇ノ浦。
 平家の勇将、平教経が自分の船を義経の船にぶつける。あのガキ、生かしておくものか、ってんで、ウォリャリャリャーッと斬りかかる。
 ポーンと飛んだ義経、古今有名な八艘飛び――をしようと、七艘目まではリズミカルに跳躍したが、八艘目が波に流された。
 ポンポンポーンと飛んできて、パッと止まれるものではない。三段跳びを二段で急に止まれと言っても、無理なのだ。
 勢いあまって、わーっ、と周防灘に落っこちていく義経。つくづく水難に見舞われる男である。


 そのとき、彼の頭には、昔、五条大橋から川面を見下ろし呆れていた、巨漢の僧の顔が、なぜか蘇ったという。


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