再生ボタン

 相変わらず物の役に立たないことばかり考えている。

 今朝、トイレに座りながら、「プレーヤーの再生ボタンの記号はなぜ左から右に向かう三角形なのだろうか?」と考えた。自分の頭の中の回線がどのようにつながってこういう疑問が生まれるのか、自分でもわからない。

 DVDプレーヤーや動画の再生ボタンは横向きの三角形が左(底辺)から右(頂点)に向かう形をしている。なぜ右から左ではないのだろうか。早送り⏩は三角形がふたつつながって、左から右に向かっている。巻き戻し⏪は逆に右から左である。

 順方向は左から右。舞台なら下手(しもて)から上手(かみて)という流れである。右から左でもいいはずなのに、なぜそうなったか。

 10秒ほど虚空を見つめているうちに答えが出てきた。「欧文の書き方が左から右に向かうからだ」。いや、立証はできないですけどね、物事の流れの意識が文章の書き方、読み方から生まれたんではないか。

 あのアイコンが誰の開発なのかは知らない。過去をさかのぼると、カセットテープのプレーヤーにはあれが付いていた。その前のオープンリールのプレーヤーもそうだったかもしれないが、これは今いち記憶にない。さらにさかのぼると、テープ物の元祖はなんだろう。映写機か。映写機にあの再生ボタンが付いているのかどうかも知らない。

 もし文章を書く方向に基づいて再生ボタンの方向が決まったのだとすると、もし昔、日本や中国がプレーヤーのアイコンを開発したらどうなっただろう。再生ボタンは上から下に向かう三角形になっていたのだろうか? あるいは、アラビアで開発したら、右から左になったのか?

 うーむ、我ながら、実に無駄な想像である。

 話は変わるが、今の若い人は⏪のアイコンをなぜ「巻き戻し」と呼ぶのか、わからないんだそうだ。カセットテープを知らないと、それはそうだろうなあ。