先週書いたように、人間が酒やドラッグをやるのは、常態と違うふわふわした酔い心地になりたいからではないか。でもって、日本はもちろん、諸外国でも酒を除くふわふわした心地になるものの多くは禁止されている(イスラム圏では酒も禁止あるいは場所を制限されているようだ。一方で、マリファナを一定条件のもとで解禁している国もある)。
さて、ではこの物質はどうか。チッ素である。一般に空気中の78%はチッ素で占められており、これを高圧(3〜4気圧程度)で吸うと、酔えるらしい。
窒素中毒の典型的な症状は、多幸感と総称される精神の高揚状態である。窒素中毒の影響が強くなるに従って、楽観的あるいは自信過剰といった傾向が強くなり行動に慎重さが失われる。窒素酔いという名は、この症状が酒に酔っている状態に似ていることからつけられたものである。
ーWikipedia「窒素中毒」より
いいなぁ、チッ素。シブいぜ、シブすぎるぜ。
スクーバダイビングではたまにこの症状が起きることがあるらしい。判断力が鈍ったり、思いもよらぬ行動をとるため、潜水時には危険なんだそうだ。ただし、上にあがって窒素分圧が十分に下がればとくに後遺症もなく回復するという。常態脱出手段としては安全ということなのだろう(もちろん、クルマを運転するとかは論外)。
不思議なのだが、酒も含めてこれだけ常態と異なる心地を、合法手段、非合法手段含めて求め、また常態から抜け出せる手段をあれこれ探求する人間が、どうしてチッ素をやらないのだろうか。チッ素ガスが禁止されているという話も聞いたことがない。
「チッ素バー ニトロゲン」なんていう店があったら、ちょっと行ってみたい気もする。入ってみると、客全員がボンベみたいなものからマスクを通じてスーハーしているだけ。地味だ。地味だけにオモロいぜ、チッ素。