不器用話

 何度も書いた覚えがあるのだが、不器用で困ることが多い。

 物をつかむということが苦手で、たとえば、今朝は大量にたまっていたペットボトルを処分しようと思い、手前の一本をつかもうとして倒してしまい、ボウリングのストライクの如く、全てが倒れてしまった。ボウリングではガーターばかりするくせにこういうときは決まるのだから嫌になる。

 これに類することは日常的によくあって、何かをつかもうとするたびにひっくり返したり、落っことしたりする。ガラガッチャン、ガッチャンと昼夜問わず劇的サウンドが鳴り響き、マンションの隣や下の方はよく我慢してくださっているものだと思う。

 小銭をつかむのも苦手で、百円玉をとろうとして、五円玉をつかんだりする。レジで払う段になって、小銭がうまくつかめず、しかも後ろに列ができていたりすると焦る。申し訳ない、申し訳ないと内心謝りながら、それでもうまくつかめないので、プレッシャーに負けて結局札で払ってしまうことが多い(二、三枚一緒につかんだりする)。おかげで、財布は小銭でいつもふくらんでいる。

 苦手といえば、スーパーのレジ袋や、ゴミ袋を開けるのもヘタだ。ビニールがぴったり張りついていると難渋する。よく、さっと開く人がいるけれど、どうやっているのかと思う。短気なので、イライラするし、焦るし、困る。

 字が下手なのは、不器用と関係あるのだろうか。メモをとっても、後で自分で解読するのが一苦労だ。先の大戦の折、おれがいて通信文を手書きで書けば、米軍に暗号を解読されることもなかったろう。もっとも、おれも含めて、後で誰も解読できないおそれもあるが。

 これほど指が言うことを聞かないと、一種の障害ではないかと思う。今度、区役所に相談してみようかしら。