シモの話で恐縮だが、昔から痔持ちで、この頃悪化してきたので近くの肛門科の医者に診てもらった。
肛門に指を突っ込まれ、何かこう、屈辱的な心持ちに陥りながら、頭のなかではこのジャケットを思い浮かべていた。
ユーライア・ヒープの「対自核」である。一方、おれは内痔核だ。
しかしまあ、なんという邦題をつけるのだろうか。現代は「Look at Yourself」。己を見つめよ、というだけなんだが、邦題にすると「対自核」。間違った訳ではないが、大仰である。
昔のロックの邦題には、厨二病というのだろうか、この手の大仰なタイトルが多かったように思う。
たとえば、ピンク・フロイドの「The Dark Side of the Moon」は・・・。
月の裏側=精神の表に出ない部分を扱ったアルバムなんだが、日本に来た途端に「狂気」。こういう大袈裟な、というか、深刻めいたものを好む感覚が、当時の日本の洋楽ロックファンにはあったのだろうか。
ピンク・フロイドの邦題といえば、これもひどい。
原題は「Wish You Were Here」、あなたにここにいてほしい、という美しいタイトルなんだが、邦題はなんと「炎」。ジャケット見たままやんけ、と、発売当時は日本全国で数十万のツッコミが入ったんじゃなかろうか。
昔のハードロックやヘビーメタルの邦題も酷くて、「地獄の」「悪魔の」「恐怖の」「炎の」なんていうのがやたらついていた。ヘビーメタル邦題AIなんていうのがあったんじゃないかと思うくらいだ。
「恐怖の」といえば、これがありましたね。
「恐怖の頭脳改革」。なんだかわからんがスゲー。行くところまで行ってしまった。原題は「Brain Salad Surgery」。Brain(脳)とSurgery(外科)から思いついたんだろう。
やらかしたのはこれ。
「ハイ・スクールはダンステリア」。原題は「Girls Just Wanna Hve Fun」(女の子は楽しみたいだけ)。曲の明るい調子と踊っているシンディ・ローパーの写真から日本のレコード会社の担当が勝手につけたのだろう。
邦題の意味を知ったシンディ・ローパーは激怒して、日本のレコード会社にクレームつけたんだそうだ。まあ、確かにこれはひどい。