長くやるのも芸だと思う。大相撲はスポーツ・格闘技だという意見もあるだろうが、いやいや、芸能でもある。魁皇くらいの年齢とポジションになるともうすでに土俵にあがる時点で芸であって、これはプロ野球の工藤公康や昨年残念ながら引退したけれども小宮山悟にも言える(言えた)ことだと思う。
ある程度相撲を見る人で魁皇が嫌いな人というのはまずいないのではないか。わたしも好きだ。仕切りを見ているだけで楽しい。うまく左を差して組むことができたら投げを期待しておおっ、と思う。右の上手投げは豪快で爽快。逆に組むことができないとあっけなく土俵を割ることも多く、そんなときは会場にああー、と残念そうな声が渦巻く。愛されているのである。
長者の風もあって、朝青龍と旭鷲山が風呂場であわや乱闘となったとき、「まあまあ」と割って入ったのは魁皇だったという。
「お相撲さん」という言葉がこれほど似合う人も少ないのではないか。魁皇は格好よい。